研究課題
研究目的は、遺伝子組換え技法により、菌体感染防御抗原や合成ペプチドなど副作用のない画期的なワクチンを開発すること、また診断用抗原の作出やDNAプローブによる新しい遺伝子検出法など早期確定診断法を開発し実用化することである。Q熱の予防(感染防御抗原)に関しては、抗原性を担う蛋白質支配遺伝子をクローニングし解析の結果、62、56、46.6、45、31、27、28、17および14.7kDa蛋白質を発現する新しい遺伝子であった。これらの新しい遺伝子から発現する蛋白質の抗原性、株間の相異、診断用抗原・ワクチンの開発などにつて基礎的研究を進めた。各遺伝子からの発現抗原は単独でモルモットに対し感染防御抗原にならなかったので、今後は、その他のクローニング遺伝子からの発現蛋白を含め、各発現蛋白の各種の混合物による感染防御の実験が必要である。Q熱の診断に関しては、Q熱の新しいicd遺伝子を解析した結果、急性Q熱患者由来株と慢性Q熱患者由来株を識別できるマーカーを見出し、分離株を迅速に識別するPCR-RFLP法を開発した。この方法はQ熱の病態診断に貢献できる。LPS認識モノクローナル抗体Mabs8種を作出解析した結果、C. burnetii22株(QpH1プラスミド保有16株、QpDVプラスミド保有2株、QpRSプラスミド保有1株およびプラスミド非保有株3株)は、プラスミド別および相別に型別ができ、株間におけるLPSの相異(病原性)の比較に応用であると考えられた。また、構成ポリペプチドに対するMabsを作出解析した結果、3種は62kDaを、6種は29-31kDaを認識し、Q熱の特異診断および特異的抗原の解析に有用であると考えられた。
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