研究課題/領域番号 |
11557001
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
八尾 寛 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00144353)
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研究分担者 |
原田 志津子 金沢大学, がん研究所, 助手 (10218646)
阿部 高明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80292209)
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キーワード | トランスポーター / 有機アニオン / 甲状腺ホルモン / プロスタグランジン / 脳・脊髄関門 / 脳・血液関門 |
研究概要 |
研究代表者は神経細胞における有機アニオントランスポーターの多様性を検討するためヒト海馬ライブラリーを検索したところ、ヒトOATPならびにヒトOATPと類似する構造をもつクローンを単離した.これらヒトにおける有機アニオントランスポーターはラットとは異なり、脳特異的に発現していることが明らかになった。 一方で有機アニオントランスポーターはラットとヒトではその構成モレキュールが異なり、特にoatp系はヒトでは臓器特異的に発現しており、今後ラットでの結果がヒトに演繹できない可能性に気づき、研究代表者はこの有機アニオントランスポーターの種間での差異等を鑑み、初年度に中枢神経系における有機アニオントランスポーター遺伝子ファミリーの検索をヒトとラットで行うことにした。その結果ラット大脳よりプロスタグランジンD2を輸送する新規有機アニオントランスポーターmoat1を単離した。単離されたcDNAのアミノ酸配列はLST-1、oatp family、プロスタグランジントランスポーターに相同性が高かった。moat1の蛋白は、有機アニオントランスポーターに共通の12箇所の膜貫通領域を持つと推測された。moat1のmRNAは全ての臓器に4.4キロと2.3キロの転写産物が認められた。また、moat1のヒトのホモログと考えられるクローンKIAA0 880の転写産物もまた全てのヒト臓器に認められた。さらに2つの転写産物の発現量は各臓器によって異なっていた.moat1を発現させた卵母細胞は特異的にプロスタグランジンD2、ロイコトリエンC4、タウロコール酸を細胞外のナトリウム非依存性に輸送した。moat1のmRNAは中枢神経系の神経細胞に広く分布していたが特に海馬と小脳に強く発現していた。以上からmoat1はその構造と基質特異性の点からみて既知の有機アニオントランスポーターとは異なる全く新しいトランスポーターであると結論づけた。 さらに現在までに我々単離した有機アニオントランスポーターはプロスタグランジンF2αを輸送しなかったが、我々はヒト海馬cDNAライブラリーよりプロスタグランジンEとF2αを輸送する新規有機アニオントランスポーターを単離した。PGETPは有機アニオントランスポーターの中でプロスタグランジントランスポーターに最も相同性が高くプロスタグランジンE1、E2とプロスタグランジンF2αを輸送したがLST-1やmoat1とは異なりタウロコール酸は輸送せず、よりプロスタグランジントランスポーターに近い新規遺伝子であった。
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