研究課題/領域番号 |
11557002
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松村 潔 京都大学, 大学院・情報学研究科, 助教授 (10157349)
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研究分担者 |
小林 茂夫 京都大学, 大学院・情報学研究科, 教授 (40124797)
鈴木 和年 放射線医学総合研究所, 高度診断機能研究ステーション, ユニットリーダ
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キーワード | ポジトロン核種 / 脳スライス / カリウムイオン / ナトリウム―カリウムポンプ |
研究概要 |
方法 ウィスターラット(雄、8週齢)の脳を取り出し、酸素化した生理的緩衝液中で300μm厚のスライスを作成した。このスライスを37℃で1時間プレインキュベーションし、そこに^<38>KC1溶液を加えた。この時点での放射能濃度を300kBq/mlと設定した。脳スライスを含むチャンバーをイメージングプレート(IP)に曝露することで^<38>K+の脳スライスへの集積を画像化した。IPへの曝露は1回10分で連続して6回行った(計60分間)。 一部の実験では^<38>K+取り込みの機構を探るために、Na+/K+ポンプ阻害剤であるウアバイン(100μM)、あるいはKチャンネル阻害剤であるBa++(1mM)存在下で上記の実験を行った。 結果および考察 脳スライスへの^<38>K+の蓄積量は時間経過と共に増加した。その程度は脳全体で均一ではなく、明確な部位差が認められた。すなわち、終脳、間脳で高く、橋、小脳、延髄で低い。この取り込みの大部分はウアバインを共存下で阻害された。予期しないことにBa++共存下では^<38>K+の脳スライスへの蓄積がさらに増加した。これはBa++によりKチャンネルを介した^<38>K+の取り込みは阻害されるが、それを上回る量の^<38>K+がNa+/K+ポンプにより取り込まれたことを示唆する。またウアバイン共存下でもわずかながら大脳皮質、小脳への^<38>K+蓄積が認められた。特に小脳への蓄積は対照群で比較的低いにもかかわらず、ウアバイン存在下では相対的に最も高い。このことは小脳のNa+/K+ポンプのウワバイン感受性が他の脳部位と異なるか、あるいは小脳ではNa+/K+ポンプによらないK+取り込み機構が働いている可能性を示唆する。 以上の結果により、^<38>K+は脳スライスにおけるNa+/K+ポンプの活動性を画像化する上で有望なトレーサーであることが明らかとなった。さらに他臓器への適応も可能である。
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