各種疾患にスーパーオキシドやNOの関与が示唆されているが、その分子論的実体は不明である。申請者らは、部位指向性SODを開発し、生体局所でスーパーオキシドの生理機能と病理作用を特異的に制御するシステムを確立してきた。、個体レベルで組織や細胞でスーパーオキシドやNOを特異的に制御(産生と消去)する分子群を開発し、活性酸素・NO代謝系の全容を把握すると同時に、各種病態の予防治療法の開発を目指してきた。本年度の研究では: 1)スーパーオキシド、NO、及び酸素の相互作用が血液循環、エネルギー合成、及び感染防御機能を統合制御するスーパーシステムを構築していることが判明した。 2)本システムはMannose受容体細胞を介して全身の血圧管理にも不可欠であり、その機能不全はショック死を誘起することが判明した。また、本システムの制御により、既存の循環制御剤に抵抗性のショック病態を制御できる可能性が示唆された。 3)本システムは、ミトコンドリアの電子伝達系、内膜電位、テトクロムc膜間分布を制御し、腎、腸、脳、筋肉組織などの細胞の生死を決定していることが判明した。 4)本システムは、両棲類の変態などにも利用されており、種を越えて機能している。 5)ほ乳類や両棲類におけるミトコンドリア依存性の細胞死がカルニチンで特異的に抑制されることが判明した。 6)カルニチンの本作用は、腎や消化管における制ガン剤副作用軽減法として極めて有用であり、担癌動物のQOLを著明に改善することが判明した。
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