研究課題/領域番号 |
11557019
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
能勢 眞人 愛媛大学, 医学部, 教授 (70030913)
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研究分担者 |
中鶴 修一 (株)カン研究所, ゲノム研究室, 室長
路 霊敏 愛媛大学, 医学部, 助手 (80304616)
宮崎 龍彦 愛媛大学, 医学部, 助手 (80239384)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | 膠原病 / リンケージ解析 / 感受性遺伝子 / 遺伝子多型 / CD72 / オステオポンチン / 合成多型蛋白 / ポリジーン疾患 |
研究概要 |
ヒト膠原病疾患群の個々の病的形質を規定する遺伝子座とその遺伝様式を明らかにすることを目的とし、モデルマウスMRL/lprを用いて解析した。1)個々の病理形質の感受性遺伝子座の同定:膠原病好発系MRLと嫌発系C3Hとの交配マウス群N2、F2世代を対象に関節炎、血管炎、腎炎、唾液腺炎の病理形質の感受性遺伝子座をリンケージ解析をおこなった。関節炎は、第15、7、2、1染色体、腎炎は、4、5染色体、血管炎は、第4、3染色体、唾液腺炎は、第10、4、18、1染色体上にそれぞれ3-20cH巾以内にマップされた。2)候補遺伝子:これらの中で、CD72遺伝子多型が血管炎、腎炎の発症に、osteopontin(OPN)遺伝子多型が腎炎の発症に関与する可能性を示した。3)感受性遺伝子座の特性:個々の病変は互いに異なる複数の遺伝子座群に支配されていること、個々の遺伝子座の遺伝浸透度は極めて低いが、各病変の遺伝子座群間には、相加性、階層性が存在すること、病変間に共通した遺伝子座が存在すること、また、血管炎感受性遺伝子座群には血管キャリバー特異性を示すものが存在することを見出した。4)候補遺伝子の多型蛋白の機能的差異:OPN多型蛋白を無細胞合成系で作製し、そのB細胞の活性化能に両者間で差があることを見出した。5)病理形質と病態形質の遺伝的関連:MRL/lprマウスの腎炎の責任蛋白であるIgG3抗体の量的形質を支配する遺伝子座の一つが、病理形質でマップされた腎炎の感受性遺伝子座の一部と共有することを見出した。5)野生マウスとの交配による新たな関節病変の発見:MRL/lprマウスとは100万年の遺伝的隔たりのある野生マウス由来MSM/Msf系とMRL/lprとのもどし交配系マウス群に軟骨増殖性関節病変を発症する個体を見出し、この感受性遺伝子座をマップした。 これらの事実から、膠原病疾患群は、遺伝子多型を含むそれぞれ異なった感受性遺伝子の汲み合わせにより規定されるポリジーン疾患であることをモデルマウスにおいて証明した。
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