研究課題/領域番号 |
11557020
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中川 和憲 九州大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50217668)
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研究分担者 |
石橋 浩晃 九州大学, 歯学部, 助手 (90254630)
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70108710)
坂本 泰二 九州大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (10235179)
橋本 修一 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00243931)
中島 豊 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (50135349)
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キーワード | 遺伝子導入 / アンチセンス / 転写因子 / リポソーム / デコイ |
研究概要 |
我々の転写因子に対する"おとり"を導入することにより、病態に関わりうるあらゆる遺伝子の発現を抑えるという概念は、今までとは異なる新しい視点からの遺伝子治療へのアプローチである。今回我々は、この概念の遺伝子治療への実用化のため、本年度は、主に培養細胞を用い、標的とする転写因子として、まずNF-κB、AP-1、SP-1を取り上げ"おとり遺伝子"導入による標的遺伝子の発現制御の有効性や再現性を確認を行った。肺腺癌細胞株A549やglioblastoma細胞株U251において、SP-1デコイはこれまでどおり、TNFα刺激によるVEGF、TGFβ発現抑制に加え、同時にPAI-1や組織因子の発現抑制も効果があることが判明した。またこれに一致して、細胞の増殖活性および浸潤活性も抑制できた。口腔扁平上皮癌SASでのNF-kBデコイによる実験では、タンパクや活性レベルでの検証はこれからであるものの、メッセージレベルではMMP-9の発現抑制が同様に観察された。以上のことは"おとり遺伝子"導入による遺伝子発現制御の概念の正しさを示唆しているものといえる。しかしながら、リポソームの調整時期や遺伝子導入の時期によりその効果にばらつきが大きく、卵巣癌細胞など現在導入がうまく言っていない細胞も存在する。今後は、これらの原因が、リポソーム、ウイルス、細胞等何れの原因によるのかを詳しく検証し、その品質管理と適応範囲などの特定のためのデータを集積する予定である。
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