研究課題/領域番号 |
11557023
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
今西 健一 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (20132920)
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研究分担者 |
藤巻 わかえ 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90256496)
八木 淳二 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70182300)
内山 竹彦 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (00050550)
三好 徹(秋山) 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (20246466)
加藤 秀人 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00241084)
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キーワード | T細胞 / スーパー抗原 / 感染症 / 毒素性ショック症候群 / 新生児TSS様発疹症 |
研究概要 |
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の産生するTSST-1が病因である新生児TSS様発疹症(NTED)の発見から始まったこの研究は感染症患者の免疫学的な特徴、特にT細胞の変動(表面マーカー及び機能)を解析して、的確な診断、予防及び治療に結びつけることを考えてスタートした。下記に示す幾つかの成果が得られた。今後は、これらの成果を発展させて、より多くの感染症の診断・予防・治療へ貢献できたらと考えている。 1.新生児TSS様発疹症(NTED)で用いたT細胞レセプター(TCR)Vβ2^+CD45RO^+T細胞の変動が毒素性ショック症候群(TSS)の診断にも応用できることを明らかにした。このことで、感染初期に確定診断ができ、的確な治療が始められるようになった。NTEDおよびTSSで、同じように感染初期に増加するVβ2^+CD45RO^+T細胞であるが、その後の経過は両者で大きく異なった。NTEDでは急激に減少するが、TSSでは長期に渡り、高値が維持される。この違いはそれぞれの時期のT細胞の成熟度の違いによること、T細胞の成熟度が高いと症状が重篤になると考えられることを見いだした。 2.NTEDにおいてVβ2^+CD45RO^+T細胞が増加する直前にVβ2^+T細胞が末梢血で検出できない時期があることを報告した。 3.以前、報告したウサギを用いたスーパー抗原性細菌毒素が関与する疾患のモデルに加えて、マウスを用いたモデルを作製した。ウサギでは他の処置をしなくとも致死性の症状が観察され、ヒトの症状に近いモデルであった。マウスでは、より免疫学的な情報が得られた。一種のスーパー抗原に応答するT細胞であってもVβエレメントが異なると反応が異なることを明らかにした。今後、これらのモデルを用いることで、疾患のさらなる解析が可能になった。 4.T細胞の変動の解析はヒトの感染症に限らず、家畜のT細胞を解析することで家畜の感染症にも応用できる可能性を示した。ウシ由来のStreptococcusから分離されたスーパー抗原SDMはヒト由来菌株から分離されたSpeCに比較し、ウシのT細胞に強く作用し、逆にSpeCはヒトT細胞に強く作用することを明らかにした。このことはSDMはウシの、SpeCはヒトの疾患に強く係わることを示唆する。産生されるサイトカインはウシでもTh1細胞の産生するインターフェロンγや癌壊死因子(TNFα)が主であった。種が異なっても活性化されるTCRVβは構造が類似したものが活性化されることを明らかにした。
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