研究課題/領域番号 |
11557031
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
酒井 敏行 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (20186993)
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研究分担者 |
増田 悦子 山之内製薬株式会社, 分子医学研究所, 主管研究員
水野 敬和 中外製薬株式会社, 富士御殿場研究所, リーダー
野村 仁 中外製薬株式会社, 高田研究所, 創薬研究担当部長
藤井 秀二 日本化薬株式会社, 制癌剤創薬部門, 副主任研究員
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キーワード | gadd45 / プロモーター / 酪酸 / TSA / Oct-1 / CCAAT / NF-Y / p53 |
研究概要 |
紫外線(UV)照射などによって生じる遺伝子損傷の際には、まずp53が誘導され、そのp53によりgadd45遺伝子がプロモーターレベルで誘導される。そのgadd45タンパクがDNA修復及び、アポトーシス誘導を起こすことにより、変異が生じた細胞を正常化したり、除外したりすると考えられている。前回、私達はUVによるp53非依存的なgadd45遺伝子の活性化機構を明らかにした。今回、私達は食物繊維の細菌発酵により生ずる短鎖脂肪酸である酪酸がp53非依存的にgadd45遺伝子を活性化することを見い出した。酪酸は、大腸癌の予防的効果を有すると考えられているが、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤として作用することが知られている。そこで、より特異性の高いヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるtricostatin A(TSA)を用いたところ、酪酸同様、p53非依存的にgadd45遺伝子を活性化することが明らかとなった。gadd45遺伝子の活性化はmRNAレベルだけではなく、プロモーターレベルにおいても見られた。そしてTSAに反応する部位を検討したところ、転写因子Oct-1の結合配列及びCCAAT box配列領域が関与することが明らかとなった。さらに、ゲルシフトアッセイを行なったところ、Oct-1の結合配列にはOct-1が、またCCAAT box配列領域には転写因子NF-Yが結合することが示された。以上より、TSAによるp53非依存的なgadd45遺伝子の活性化機構を明らかにしたことから、遺伝子修復能力を高める新しい方法として今後重要視される可能性を考えている。
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