研究課題
基盤研究(B)
Gadd45遺伝子は、UV照射によって、p53依存的または非依存的に活性化される。UV照射によるp53非依存的なgadd45遺伝子の誘導に関わるDNA配列を調べる目的で、我々は、p53が失活している細胞株を用いて、ルシフェラーゼレポーター遺伝子につなげたヒトgadd45プロモーターに様々な変異を導入し、解析を行なった。我々は、UVに反応するエレメントが、転写開始点の99塩基上流に位置するOct-1結合配列であることを明らかにした。ゲルシフト解析によって、転写因子Oct-1がこのエレメントに結合すること、また、DNA-タンパク質の複合体の強度や移動度が、UV照射によって変化しないことがわかった。これらの結果は、Oct-1記列が、UV照射によるp53非依存的なgadd45プロモーターの活性化に関わる必須な配列の一つであることを示唆する。ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤は、様々な癌細胞で、G1とG2/Mでの増殖停止、細胞分化、アポトーシスを引き起こす。我々は、gadd45遺伝子が、典型的なHDAC阻害剤であるTSAによってgadd45プロモターを通して、p53非依存的に活性化されることを明らかにした。gadd45プロモーターの活性化機構を明らかにするために、我々は、ルシフェラーゼレポーター解析とゲルシフトアッセイを行なった。その結果、Oct-1とCCAAT部位がTSAによる完全な活性化に必要であることがわかった。また、Oct-1とNF-Yが各々の部位に特異的に結合することが明らかとなった。我々の結果は、HDAC阻害剤が、p53非存在下でgadd45遺伝子を活性化すること、また、Oct-1とNF-Yが協調的にTSAによるgadd45プロモーターの活性化に関わることを示唆する。以上より、我々はUV照射やTSA処理によってgadd45遺伝子をプロモーターレベルで活性化することを見い出し、それらのメカニズムを明らかにした。今後は、これらを応用し、遺伝子修復能力を高める新しい方法として開発していくことを考えている。
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