研究課題/領域番号 |
11557033
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
本橋 豊 秋田大学, 医学部, 教授 (10174351)
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研究分担者 |
藤島 一郎 聖隷三方原病院, リハビリテーション部, 部長(研究職)
前田 明 秋田大学, 医学部, 助手 (40264543)
湯浅 孝男 秋田大学, 医療技術短期大学部, 教授 (90241679)
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キーワード | 生活時間構造 / 社会リズム同調 / 地域高齢者 / 健康増進 / 介護予防 / 比較制度分析 / 健康権 / 歴史的経路依存性 |
研究概要 |
生活時間構造と社会リズム同調を重視した健康判定システムと健康教育を秋田県A市保健センターで実施し、その評価を行った。平成11年度の健康判定実施者は830名であり、そのうち生活時間構造の乱れがちな70名に対して個別健康教育を実施した。個別健康教育実施3ヶ月後に再度健康判定を行い、行動変容の状態を調べた。結果は介入後、有意な行動変容は認められなかった。しかし、同時に実施した満足度調査では個別健康教育は良かったと回答した者が88.6%であり、質的評価では新たな健康判定システムを肯定的に評価していた。生活時間構造と社会リズム同調を重視した健康判定システムに関するフォーカスグループインタビュー結果では、生活リズムやストレスに対する評価が新鮮である、従来の健康判定システムと比べて待ち時間が少なくない点などで評価できるといった点が指摘された。秋田県内の過疎地域であるB町においても、生活時間構造を重視した質問紙調査を実施した。この調査では特に、生活時間構造と日常生活自立度の関係について調べ、痴呆高齢者の予防に役立てることを目的とした。生活時間構造(生活リズム得点)は日常生活自立度と有意な相関を示し、また、加齢が進むにつれて、生活時間構造がルーズになる傾向が認められた。以上より、痴呆を含む介護予防において生活時間構造は考慮すべき重要な要因であることが示された。 生活時間構造を重視した新たな健康増進戦略を構築するための政策科学研究として、比較制度分析に基づく諸外国の健康増進システムの歴史的経路依存性に関する研究を行った。諸文献にもとづき、ヘルスプロモーションの理念が形成される歴史的経路について分析し、健康権の理念を重視し参加と社会支援環境形成を強調するヨーロッパ型健康増進と個人の生活背景と責任を重視し経営工学的型数値目標を重視するアメリカ型健康増進の二型に分類した。日本は両者の混合型であった。
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