研究概要 |
RH遺伝子の全構造解析に取り組み,RHD遺伝子とRHCE遺伝子,さらにこれらをつなぐスペーサー領域の全ての塩基配列を決定した。ここで得られたスペーサー領域の塩基配列データを基に,エンハンサー領域の同定を進め,RHCE遺伝子の上流約7kbのところに同活性を見出した。また同時に,Rhポリペプチドの赤血球膜固定に必要なco-moleculeのRh50糖蛋白をコードするRHAG遺伝子解析も進めてきた。RHAG遺伝子の5'非翻訳領域をクローニングし,そのプロモーター解析を行い,同遺伝子が赤芽球に特異的に発現する機構を明らかにすることが出来た。さらに,RHAG遺伝子のエンハンサー領域のクローニングにも成功した。 上記の研究を進めつつ,Rh血液型抗原エピトープ群の解析のために,リコンビナントRhポリペプチド(RhD,RhcE,Rhce,RhCE)発現細胞ならびにCE-D,D-CEキメラ抗原発現細胞を作製し,各種抗Rh抗体との反応性を検討した。さらに,RhDの代表的な変異型であるpartial Dの血清学的,分子遺伝学的解析を行い,3種類の新しい変異型を見出した。これら一連のアプローチにより,各種抗原エピトープに関する重要な情報を得ることが出来た。また,Rhnull例やD--例の遺伝子解析により,新たな変異遺伝子を見出すとともに,Rhnullにおけるregulator型とamorph型の遺伝的歳を明確に示すことが出来た。
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