研究課題/領域番号 |
11557041
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
佐藤 千史 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (60154069)
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研究分担者 |
黒崎 雅之 東京医科歯科大学, 医学部・附属病院, 助手 (10280976)
榎本 信幸 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20251530)
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キーワード | C型肝炎ウイルス / 肝細胞癌 / 癌遺伝子 / 慢性肝炎 / CD81 |
研究概要 |
C型肝炎ウイルスの持続感染と肝発癌は密接に関連していることが知られている。ウイルス側の要因としてC型肝炎ウイルス遺伝子の特定の構造が発癌に関連していることが示唆されているが、現在まで発癌と関連するC型肝炎ウイルス遺伝子領域は明らかにされていない。そこで、本研究ではC型肝炎ウイルス蛋白の直接的な発癌機序の解析、肝細胞癌と関連する宿主遺伝子の解析、および発癌に関連するC型肝炎ウイルス遺伝子構造の解析という3つの方向からアプローチしている。昨年度は肝細胞癌組織に特異的に発現或いは発現が低下して発癌に関与していると思われる遺伝子を同定する目的で、肝細胞癌症例の癌部と非癌部組織での遺伝子の発現をsupression subtraction hybridization法を用いて解析し、癌部において既知の7遺伝子、未知の2遺伝子の高発現とdecorinの発現抑制を認めた。今年度は肝細胞癌の発癌に関連するC型肝炎ウイルス遺伝子構造を明らかにするために、肝細胞癌患者と非肝細胞癌患者から得られたC型肝炎ウイルスの全塩基配列を決定し、相互に比較検討した。その結果、肝細胞癌患者において高頻度に認められる変異部位があり、これらの数を加算すると非肝細胞癌患者よりも有意に高い数値であった。一方、CD81はC型肝炎ウイルスの感染レセプターと推定されている。この多様性は肝病変の進展と関連する可能性もあるので、肝細胞癌との関連について調べた。末梢血から抽出したCD81のcDNA塩基配列を比較すると、病期による変化は認められなかった。しかし肝細胞癌患者の癌組織と末梢血のCD81を比較すると、6例中3例に3'端非構造領域において相違が認められた。肝細胞癌の発癌に関連する可能性があり、今後の解析を予定している。
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