研究概要 |
(1)心筋炎・拡張型心筋症(慢性心筋炎)の心筋組織内浸潤T細胞のT細胞レセプター(TCR)のclonalityの解析 : SSCPにてVβはoligoclonalで、その約40% のcloneが異なる3部位に共通であり、そのさらに約40%が末梢血中でもexpandしていた。以上より、病態にprimaryの役割を果たすT細胞cloneを末梢血中から分散することにより、それらが認識する抗原を同定できる可能性が示された。(2)急性・慢性心筋炎におけるT細胞を介する心筋障害に重要なcostimulatory moleculeの同定 : (A)マウスの急性心筋炎においてTNF receptor /ligand superfamilyのcostimulatory moleculeについて解析したところ、CD30L,4-IBBL,Fasは心筋炎によって心筋細胞上に発現誘導され、抗4-IBBL抗体、抗FasL抗体により心筋障害は有意に抑制されたことから4-IBB/4-IBBL,Fas/FasLの経路は少なくともマウスのウイルス性心筋炎の心筋障害に重要な役割を果たしていると考えられた。(B)急性心筋炎・拡張型心筋症(慢性心筋炎)患者においてもCD27L, CD30L, OX40L, 4-IBBLが心筋細胞上に発現誘導されており、また少なくとも一部の浸潤細胞がそれらのcounterpartを発現していたことから、ヒトの心筋炎の心筋障害においてもこれらのcostimulatory moleculeが何らかの役割を果たしている可能性が示唆された。(3)高安動脈炎の血管組織内浸潤T細胞のT細胞レセプター(TCR)のclonalityの解析 : (A)SSCPにより浸潤αβ型T細胞のTCR cloneはoligoclonalであり、大動脈壁組織の異なる2箇所における発現はほぼ一致したことから、特定のcloneが何らかの特定の抗原を認識して浸潤し細胞障害を起こしていることが示唆された。(B)浸潤γδ型T細胞においてもαβ型T細胞と同様、TCR repertoire はoligoclonalであった。(4)高安動脈炎におけるcostimulatory moleculeの解析 : TNF receptor /ligand superfamilyの中でも特に4-IBBL/4-IBBLやFas/FasLを介する経路の血管障害への関与が示唆された。
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