研究課題/領域番号 |
11557052
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
篠山 重威 京都大学, 医学研究科, 教授 (70109007)
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研究分担者 |
田代 啓 京都大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (10263097)
松森 昭 京都大学, 医学研究科, 助教授 (70135573)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | 動脈硬化 / PTCA / 再狭窄 / 血管内皮細胞 / 血管平滑筋細胞 / 神経提細胞 / 発生 / インテグリン |
研究概要 |
マウス胎児心臓からシグナル・シークエンス・トラップ法にてクローニングした新規分泌蛋白の一つであるDANCEはカルシウム結合性EGFドメインを6個有し、RGD配列を介してインテグリンと結合することが示された。FISH法にてヒト第14染色体長腕q32.1にあることを突き止めたが、現在のところ同部位に遺伝的疾患は報告されていない。更なる機能解析として正常・病的動物での発現解析を進めた。マウス胎児においては胎生9.5日になり移動中の神経提細胞とそれに由来する鰓弓間葉細胞及び心外膜に発現を認める。胎生12.5日では心流出路と大動脈(内皮・平滑筋細胞の両者)で発現が強いが、心内膜床や頭部・体節間などの間葉組織でも発現を認める。胎生14.5日になると、神経提由来組織での発現が変化し、頭部間葉・心流出路・交感神経節で発現が持続する一方、副腎などでは発現が消失する。成体では大動脈での発現も低下するが、胸部大動脈肋間枝分岐部では局所的に強い発現を認める。これは血行動態的なストレスから動脈硬化を起こしやすい解剖学的部位と一致するため、高コレステロール食投与LDL受容体欠損マウスで調べたところ、プラーク病変を覆う内皮細胞での有意な発現増強が判明、動脈硬化病変でのDANCEの関わりが示唆された。またラット頸動脈バルーン傷害モデルでは傷害後発現が亢進し14日後に最大となった。詳細な検討では剥離後再生した内皮及び平滑筋細胞で発現するが、分裂増殖の活発な場所から少し離れた休止期に入った領域で特に強い発現を認めた。以上よりDANCEは血管病変における病的増殖細胞に増殖抑制のシグナルを伝える作用が示唆され、経皮的冠動脈形成術後の再狭窄予防などの臨床応用への発展の可能性も秘めた蛋白であることが判明した。遺伝子欠損マウスの作成にも成功、異常な表現型の存在を確認しており、現在そのメカニズムの解明を行っている。
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