研究課題/領域番号 |
11557053
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
斎藤 能彦 京都大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30250260)
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研究分担者 |
寺岡 宏 塩野義製薬株式会社, 診断医学事業部, 部長(研究職)
吉村 道博 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (30264295)
小川 佳宏 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (70291424)
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キーワード | eNOS遺伝子 / 転写因子 / 遺伝子多型 / RPA1 |
研究概要 |
eNOS遺伝子上の2種類のsingle nucleotide polymorphism(SNPs);exon7におけるGlu298Asp変異と5'転写調節領域のT-786C変異を発見したが、これらの2種類のSNPsは連鎖不均衡にはなかった。京都と熊本の2つの地域で関連研究を行うと、Glu298Asp変異は本能性高血圧症、急性心筋梗塞、冠攣縮狭心症と有意に関連していた。一方、T-786C変異は冠攣縮性狭心症や器質的狭窄の認められない急性心筋梗塞と有意に関連していたが、本態性狭心症とは関連していなかった。 T-786C変異はルシフェラーゼリポーター遺伝子に結合してeNOS遺伝子の転写におよぼす機能解析を行った結果、この変異により転写活性が30%低下した。-786C変異型DNAへの結合活性を指標にこの変異に結合する転写因子をHela細胞核蛋白質300mgより精製した。アミノ酸配列を決定した結果この蛋白質はreplication proteinA1と同一の蛋白質であった。このRPA1cDNAを発現ヴェクターに挿入しCOS1細胞にeNOS変異型遺伝子リポーター遺伝子と共発現させるとRPA1の過剰発現によりリポーター活性はより低下した。また、RPA1のアンチセンスoligonucleotideをやはりリポーター遺伝子とHUVECに共発現させるとアンチセンスoligonucleotideはリポーター活性の低下を有意に抑制した。 以上のことからRPA1がサプレッサーとしてT-786C変異型遺伝子にサプレッサーとして働いて変異型遺伝子の転写活性を抑制していることが証明された。 また、イントロン4にはVNTR変異が以前より報告されており、この変異と虚血性心疾患の関連が報告されていたがこの変異とT-786C変異は連鎖不均衡にあることを日本人の症例で確認した。このことによりイントロン4のVNTR変異の機能的な原因LociはT-786C変異であることが示唆された。
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