研究分担者 |
井田 博幸 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90167255)
大野 典也 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (60147288)
田中 忠夫 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50110929)
岡本 愛光 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20204026)
大橋 十也 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (60160595)
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研究概要 |
遺伝病、染色体異常症などの出生前診断は胎児への安全性、或いは母体への侵襲性などよりスクリーニングにも適切である母体血を利用しての出生前診断法の開発が必要である。妊娠3-4ヶ月の母体血には約数万個に1個の割合で胎児血球が含まれる。この胎児血球をレクチン法、磁気ビーズ法、フローサイトメトリー法などを組み合わせ胎児血を分離精製し、glycophorin A, CD-71,CD-36、Y-specific probe、fucose-containing glycoprotein, hemoglobin Fなどの抗原に対する抗体を用いて胎児血を同定し、ダウン症、Aneuplody症候群などの染色体異常症、ゴーシェ病、ファブリー病などの遺伝病を胎児血を用いて出生前診断に応用することを検討した。 (1)母体血よりの胎児血球の分離に関する研究 妊娠15-36週の妊婦よりインフォームドコンセントを得て母体血を採取し、レクチンカラム、磁気カラム、或いはセルソターを用いて胎児血球の分離並びに回収率を検討した。母体血20mlから有核細胞を取り出しPCR法を用いてD18S474のマイクロサテライトをマカーにして胎児血の同定に成功した。またsingle cellよりcDNAマイクロアレーの解析を行つたがより細胞の必要量が考えられた。 (2)母体血を用いての染色体異常症の診断への応用: 母体血有核細胞を用いて、ダウン症の場合は21番染色体のプローベを用いてIn Situ hybridization法での同定をする。又Aneuploidy症候群では皮膚繊維芽細胞を用いて細胞周期特に紡錘糸のチェックポイントに関係する遺伝子を数種類患者細胞に於いて検討し、spindle-assembly check pointに異常があることを明らかにした。今後母体血での応用を検討する。 (3)母体血を用いての遺伝病な診断への応用: ゴーシェ病患者の母体血での胎児診断法の開発の為に日本人ゴーシェ病患者の遺伝子型を日本人患者105名のDNAを集め解析したところ、L444Pが32%、F213Iが17%、D409Hが5.2%,RecNcIが4.2%であつた。これらの結果からSSCP法を組み合わせることにより日本人ゴーシェ病での胎児診断は可能と思われる。またファブリー病の遺伝子診断の応用も検討し、9つの新しい遺伝子変異を同定した(L16H、A37V, W209X, R342Q, IVS1-1,IVS5-2,IVS5-2,IVS6+1等)。
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