研究課題/領域番号 |
11557064
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
斉田 俊明 信州大学, 医学部, 教授 (10010381)
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研究分担者 |
吉田 純 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40158449)
久保 仁美 信州大学, 医学部, 助手 (60234481)
松本 和彦 信州大学, 医学部, 講師 (40165882)
影下 登志郎 熊本大学, 医学部, 助教授 (20152605)
水野 正明 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (70283439)
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キーワード | メラノーマ / 遺伝子治療 / インターフェロンβ / リポソーム |
研究概要 |
本研究の目的はきわめて難治な進行期メラノーマに対する新しい治療法としてインターフェロンβ(IFN-β)遺伝子を用いる遺伝子治療を開発することである。前年度までの研究に引き続き、さらに基礎研究を進め、まずC57BL/6マウスに移植した同系可移植性B16メラノーマの系において、腫瘍結節内にIFN-β遺伝子を正電荷多重膜リポソームに包埋して1回局注することにより、IFN-β蛋白1000IU局注に比べ、腫瘍結節の増大が有意に抑制されることを確認した。さらに、この系でIFN-β遺伝子局注腫瘍結節にNK細胞の浸潤が目立つことを見出した。そこで、マウスを抗asialoGM1抗体で処理してNK活性を抑制した状態で同様の実験を行い、IFN-β遺伝子局注の効果が減弱することを明らかにした。また、in vitroの系でこの遺伝子製剤を8時間毎に繰り返し2回および3回作用させると1回のみの場合に比べて遺伝子発現効率が有意に高まることを明らかにした。 以上の結果より、IFN-β遺伝子の局注によるはメラノーマに対する抗腫瘍効果は、メラノーマ細胞に対する直接的障害作用とともに、NK細胞などの活性、浸潤を介した全身的免疫反応の活性化も関与していること、さらに数回繰り返し投与することが遺伝子導入効率を高め、効果の増強に役立つことが明らかにされた。 前年度までの研究成果と今年度の上記研究結果にて、臨床研究開始のための基礎的データが整ったと考えられるので、遺伝子治療臨床研究開始へ向けて手続きを進めることとし、「実施計画申請書」を作成し、信州大学医学部附属病院遺伝子治療臨床研究審査委員会へ提出した。3月4日開催の同委員会にて申請者として説明を行い、審議の結果、承認された。また、医学部倫理委員会の承認もえた。今後文部科学省ならびに厚生労働省への申請へと進める予定であり、臨床研究開始へ向けて準備を整えている。
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