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2000 年度 実績報告書

トランスグルタミナーゼ異常症の分子病態に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 11557065
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

山西 清文  京都府立医科大学, 医学部, 講師 (10182586)

研究分担者 野坂 和人  京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (10228314)
キーワード角化症 / 形態形成 / 角質 / 脂質 / トランスグルタミナーゼ / ノックアウトマウス / 魚鱗癬
研究概要

常染色体劣性葉状魚鱗癬(Lamellar ichthosis,LI)と紅皮症に微細白色鱗屑を伴う劣性魚鱗癬の一部の症例において,周辺帯(CE)形成異常とトランスグルタミナーゼ1(TGase1)の変異が検出されている.CEの産生にはTGase1が必須であることは,TGase1ノックアウトマウス(TGase1^<-/->)の解析によりすでに証明した.また,ヌードマウスに移植したTGase1^<-/->皮膚の形態的観察と皮膚バリアー機能解析から,TGase1欠損によるバリアー機能障害を代償する結果として,角化細胞の分裂増殖と過角化が起こり,魚鱗癬様の表現型を示すに至ることを示した.TGase1^<-/->皮膚では,CEはTGaseによってタンパクが凝集したprotein envelope(PE)と,その外側のω-OH ceramideからなるlipid envelope(LE)から構成されている.TGase1^<-/->におけるLEの構造と,角質細胞間脂質の形態を電顕的に観察したところ,TGase1^<-/->皮膚ではLEが欠損し,脂質を含有する層板顆粒は産生されるが,細胞間へ脂質の分布が異常で,角質細胞間脂質配列の破綻が観察された.従って,TGase1は架橋形成反応によるPEの産生のみならず,LEの形成と角質細胞間脂質層状配列の統合性維持を通じて,皮膚のバリアー機能の調節に極めて重要な役割を果たしていることが明らかになった.現在,LIの病像をより適切に再現するために,LIに見いだされている点突然変異をもつモデルマウスを作製中であり,次年度にはその表現型の解析を実施し,さらに詳細な解析を実施する予定である.

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Hitomi K, et al.: "Characterization of human recombinant transglutaminase 1 purified from baculovirus-infected insect cells."Biosci.Biotechnol.Biochem.. 64・10. 2128-2137 (2000)

  • [文献書誌] Inada R, et al.: "Facilitated wound healing by activation of the transghctaminase 1 gene."Am.J.Pathol.. 157・6. 1875-1882 (2000)

  • [文献書誌] Sayama K. et al.: "Apoptosis signal regulating kinase 1 (ASK1) is an intracellular inducer of keratinocyte differentiation."J.Biol.Chem.. 276・2. 999-1004 (2001)

  • [文献書誌] 山西清文: "皮膚科領域における分子生物学の発展"日本皮膚科学会雑誌. 110・12. 1932-1936 (2000)

  • [文献書誌] 山西清文: "皮膚科診療プラクティス10.(魚鱗癬の遺伝子異常)"文光堂. 220 (2000)

  • [文献書誌] 山西清文: "皮膚疾患最新の治療(腸性肢端皮膚炎)"南江堂. 260 (2001)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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