研究課題
我々はすでに平成10年度で終了した科学研究費の成果として、^<19>F MRSの人体からの信号を臨床使用量で観測することに成功した。この予備実験で得られた^<19>Fの信号は、消化器腫瘍手術後経過良好で、抗腫瘍剤である5 FUを服用中の症例について、通常の治療コースで服用中の5 FUの信号を肝臓領域から得たものである。この際の投与量は100mg以下と比較的少量であるが、良好な信号を得ることが出来たので、さらに直接治療計画につながる、臨床診断法として展開研究を進めるため、平成11年度は^<19>F MRSの評価に関して、現在医薬品として使用されているフッ素含有薬剤として、5FU、抗精神薬および麻酔薬の臨床用装置での測定法の確立と測定限界の確認および最適測定法のパラメータの設定を行った。また、5FU系の抗腫瘍剤投与後の生体内における同化及び異化代謝の動態をダイナミックMRS計測法によって行い、薬物代謝動態から見た肝機能評価及び薬効評価に関する評価研究も行った。これらの研究は文献として公開した。平成12年度には臨床用研究装置が高速撮影対応の装置に更新され、多核種計測用の独立型スペクトロメータとのハイブリッド構成を試み、臨床用装置内で自由に多核種計測が出来るようなシステムを構築中である。また、臨床用装置から直接フッ素などの測定が出来るように開発と調整を行っている。平成13年度はこれらの開発成果の上に立って、さらに動物実験などによって定量化の問題などの解決に当たる予定である。また、抗精神病薬剤のハロペリドールについても、デポ剤の局在分布を画像(^<19>F CSI、化学シフトイメージング)にも成功し国際学会に発表、高い評価を得ることが出来た。ハロペリドールデポ剤の、掲示的空間的分布と代謝の変化を確実に評価することは、今後の本展開研究の重要な目標の1つである。
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