研究概要 |
既に具体的な抗原として血液悪性腫瘍に見られる再構成した遺伝子(BCR-ABL,PML-RARα,FLT3R)、私達が独自に発見したCEV14-PDGFRβ融合遺伝子、TEL-Syk融合遺伝子を用いて検討をおこなった。本研究においては、新規ターゲット遺伝子の検索と免疫療法の開発を中心におこなった。このようにして見つかった腫瘍特異抗原に対する遺伝子免疫療法をまず検討した。同種幹細胞移植を受けた造血器悪性腫瘍患者の移植後の血清(抗体)を用いて、SEREX法によるGVL効果およびGVHDの標的抗原の検索を行った。白血病細胞株(K562,MEG-A2)およびヒト精巣よりcDNAファージライブラリーを作成し、移植後の患者血清(抗体)による発現スクリーニングを繰り返した。抗体に陽性となるクローンを単離した後、塩基配列を決定し、GenBankによる解析を行った。作成したcDNAライブラリーを移植後の患者25人分の血清でスクリーニングしたところ、25個の陽性クローンを得た。 遺伝子銃によるDNAワクチンは、ウイルス抗原などの遺伝子を用いて既に多くの実験が行われている。私達はヒト白血病において異常の見られるmutant FLT3遺伝子によって自律増殖能を獲得した32D細胞をもちいて、悪性腫瘍のDNAワクチン療法をおこなった。LacZ DNAを用いたin vivoの遺伝子導入実験にて導入部位に強く発色が観察された。このことからHeliosGene gunでの遺伝子導入が安定して行われていることが確認できた。腫瘍のチャレンジテストはDNAワクチンで3回免疫後に行ったが、FLT3/NEODNAで免疫したマウスでは全く腫瘍の生着、増殖が認められなかった。これらのマウスから32D/FLT3細胞に対する液性抗体が認められた。
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