研究課題/領域番号 |
11557078
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
諸橋 憲一郎 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (30183114)
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研究分担者 |
佐神 文郎 エーザイ株式会社, 安全性研究所, 部長
石原 悟 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (00300723)
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キーワード | 内分泌撹乱物質 / 生殖腺 / 転写因子 / P450 / Ad4BP / Dax-1 |
研究概要 |
生殖腺の発生メカニズムに関する研究はWT-1、Ad4BP、SOX-9、DAX-1、EMX-2、GATA-4などの生殖腺の形成に不可欠な転写因子の同定により大きく進展した。これらの因子は生殖腺形成過程の極めて早い時期から発現し、各々特徴的な性依存的発現を示すことが知られている。これらの因子はいずれもその発現異常によって生殖腺の形成に欠損を生じることから、その発現様式や発現量は正常な生殖腺の形成にとって重要であると推測される。内分泌撹乱物質が生殖腺や付属生殖器官の形成に影響を与えることは、既に動物実験などで証明されているがそのメカニズムについては未だ不明な点が多い。我々の予備的な実験によると、内分泌撹乱物質は胎仔生殖腺におけるAd4BPの発現量を減少させることが明らかになっている。従って、その作用は生殖腺の形成に不可欠な転写因子の発現異常を招くことを通じて引き起こされるものであることが推測される。このような観点からこれら転写因子の胎仔生殖腺における発現量を正確に定量することは、内分泌撹乱物質の生殖腺に対する影響を評価するためには不可欠であると思われる。本研究はこれらの転写因子の発現量を簡便かつ再現性良く定量する系を構築することを目的に行われた。サーマルサイクラー社製のライトサイクラーを用いて、微量RNAからの再現性良い定量系を確立することが出来た。この定量系を用いて代表的な内分泌撹乱物質を母体へ投与したところ、胎仔生殖腺におけるP45017alphaの発現量が大幅に減少することが明らかになった。しかしながら、この遺伝子を制御するAd4BPやDax-1などの転写因子の発現が顕著に変動することはなかった。現在更に詳細な検討を行っているところである。
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