研究課題/領域番号 |
11557084
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
嶌原 康行 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30196498)
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研究分担者 |
山本 成尚 京都大学, 医学研究科, 助手 (30253298)
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
河田 則文 大阪市立大学, 医学部, 助手 (30271191)
飯室 勇二 京都大学, 医学研究科, 助手 (30252018)
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キーワード | NAC / 抗酸化剤 / 肝不全 / 星細胞 / 肝線維化 / PDGFレセプター / カテプシン / 肝硬変 |
研究概要 |
【肝細胞・星細胞相互作用】1.ラット肝細胞・星細胞の供培養系が確立した。2.肝細胞・星細胞供培養では、単独培養に比べてそれぞれ両者共に増殖した。3.肝細胞・星細胞の細胞間相互作用の解明:星細胞培養上清に含まれる未知の増殖因子の存在が示唆されたが、50KDa以上のフラクションにその活性があることが判明した。これは既知の増殖因子(HGF,EGF,IGF)と異なる事が示唆された。4.星細胞上清の増殖活性因子の他に肝細胞増殖修飾因子として細胞接触(cell-cell contact)についても検討したが、細胞接触によって肝細胞の増殖は抑制された。星細胞は細胞外マトリックス産生に最も重要な因子であるが、その活性制御による肝細胞機能調節の可能性が示唆された。【NACの星細胞活性抑制効果と肝線維化防止効果】星細胞の活性化を抑制する薬剤の内、N-acetyl-L-cysteine(NAC)が臨床応用可能な有力なものであることが判明した。NACはPDGFRを分解し、TAA肝硬変ラットおよび閉塞性黄疸ラットにて肝線維化を著明に防止した。さらに、NACの効果の機序についても詳細が解明された。すなわち、NACのチオール基によってPDGFレセプターのヂスルフィド結合を解離し、星細胞から細胞外へ分泌しているカテプシンBによってPDGFレセプターを分解することが明らかとなった。また、このNACの分解作用は、TGF-betaレセプターIIやN-CAMなどのIgGタイプの細胞表面タンパクにも認められた。さらに、PDGFレセプターの分解により、それ以降の細胞内シグナルを抑制し、星細胞の増殖を抑える。また、これは血管平滑筋細胞でも認められた。さらに、チオアセトアミド誘導肝線維化モデル、胆管結札ラットでNACが抗線維化効果を発揮することを確認した。
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