研究課題
基盤研究(B)
平成11年度はまず本測定装置にとっても最も重要である生体適合性を有する磁性流体の再開発に取り、以下の2点を改良した。1)生体に影響を与えない被覆剤として界面活性剤ではなくSiO2を用いた。2)その結果より中心微粒子としてマグネタイトは還元されて約2倍以上磁化率の良好なFe粒子に変化するため低濃度の鉄分で測定が可能となる。その結果第1段階の試作品の成績としては、1)個々の微粒子が被覆されず、小塊として被覆やすい。2)そのため分散性に難点に劣り、溶媒には粘度の高いアラビアゴム溶液が必要であった。3)これらの生体内投与で、ラットでは粘膜付着性はほとんどなく、組織学的粘膜障害はみられなかった。4)in vitroの検討では十分な耐酸性、対アルカリ性がみられたが、in vivoの腸管投与時はラットでは血中濃度が有意に上昇し、イヌでは明らかな上昇がみられなかった。現在、さらに微粒子の状態下で(概ね10nm直径以下)でSiO2被覆が出来るようにクエン酸を用いた広域pHマグネタイト分散液のSiO2被覆工程における最適SiO2濃度およびpH濃度を検討中であるが、より分散性の良好な磁性流体が得られつつある。一方、磁場測定装置にも改良を施した。従来の磁場計測は手動で行われていたため、プローブの移動速度、測定ピッチが一定でなく時間もかかっていた。そこで、今回はプローブ移動を自動化し測定時間も短縮し移動速度、測定ピッチは最小化(0.1mm)を実現し、さらに測定範囲も、300mm×300mmに拡大した。また、測定中にパソコン画面上に測定値を三次元的に表示できるため、測定状況を確認する事がかのうとなり、より実用化へ近づいた。さらに、生体適合性をin vitroで検討するため、オーガンチャンバーシステムを導入して消化管筋片の収縮特性の測定準備を進めている。