研究課題/領域番号 |
11557092
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柳衛 宏宣 東京大学, 医科学研究所, 助手 (30212278)
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研究分担者 |
小倉 紘一 日本大学, 生産工学部, 教授 (60059681)
小林 久夫 立教大学, 原子力研究所, 教授 (10062605)
杉山 弘高 愛知医科大学, 医学部, 講師 (70242112)
小野 公二 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90122407)
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キーワード | 中性子捕捉療法 / Drug delivery system / Stealth liposome / Qplex / C型肝炎ウイルス細胞障害領域(INES領域) / アポトーシス / ボロン化合物 / バルス式中性子発生装置 |
研究概要 |
インテリジェントターゲッティングシステムを用いた遺伝子治療と中性子捕捉療法の併用効果により選択的な癌治療を目指して研究を進めている。 1)インテリジェントターゲッティングシステムをBNCTに応用するために、我々は、Liposomeの表面をPolyethylene glycolで修飾することにより、細網内皮系による捕捉を回避し、血中滞留性が著しく向上するStealth liposomeを開発した。さらに、Stealth liposomeの表面にTransferrinを結合させることにより、選択性を高めることができ、静脈注射後72時間後も腫瘍内^<10>Bを有効濃度に維持でき、2x10^<12>n/cm^2の熱中性子を照射し、BNCTを行うと、腫瘍特異的にColon26腫瘍の消失を認めた。 2)^<10>Bの腫瘍中濃度分布および体内分布を固体飛翔検出器(CR39)を用いて行った。スイス国のPaul Scherrer国立研究所、フランス国Saclay研究所の冷中性子を用いることにより、さらに純度の高い低速中性子が得られ,^<10>Bの濃度分布の画像化を鮮明化できた。冷中性子を用いた中性子捕捉療法が実現可能か検討中である。 3)熱中性子を獲得するために、安全で効率のよいパルス式中性子発生装漬を開発し、商品化できるところまできている。 4)我々はCationic liposomeとplasmid DNAとの複合体いわゆLipoplexにprotamineおよびLigandとしてtransferrin(TF)を添加した4成分からなる複合体(Quarternary compex,Qplex)を開発した。Qplexの粒子径を動的光散乱法により評価すると258.6±88nmであり、Lipoplex(865±655nm)よりも粒子径が小さい均一な複合体を形成していると考えられる。plasmid DNAはβ-galactosidaseをコードしたものを用い、X-gal染色法で細胞500個あたりの発現を調べた。AsPC-1細胞において接触時間2時間では15.4%の細胞に発現が見られたのに対し、4時間では44.2%、8時間では64.7%と、時間と共に発現効率が増加した。また、Lipoplex(1.8%)およびLipoplexにprotamine(8.6%)またはTFのみを添加した複合体(2.6%)に比べて、Qplexはいずれの細胞に対しても著しく高い発現を示した(64.7%)。さらにQplexはLipoplexや他のcomplexと比較して、血清存在下で酵素活性、発現効率ともに高い値を示すことが分った。C型肝炎ウイルス細胞障害領域のplasmid DNAをQplexを用いて腫瘍細胞内に導入すると、アポトーシスを誘発し抑制効果があることが分かった。
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