研究課題/領域番号 |
11557093
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西田 俊朗 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (40263264)
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研究分担者 |
精山 明敏 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70206605)
廣田 誠一 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50218856)
内山 安男 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10049091)
市川 肇 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60303939)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2002
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キーワード | 腸管運動 / カハール細胞 / KIT蛋白質 / エンドトキシン / 蠕動運動 / Nitric Oxide / Infection / KIT |
研究概要 |
平成14年度研究成果 本研究では、消化器術後や重症感染症時の消化管運動障害の発生機構をカハール細胞障害中心に検討した。平成11年度はエンドトキシン投与にて空腸及び回腸の自動運動能が投与後12時間から18時間をピークに減少し、カハール細胞のKIT染色性も12時間目をピークに低下することを示した。平成12年度はエンドトキシン投与時のカハール細胞障害に関与する因子を明らかにすると供に、カハール細胞障害と小腸運動低下の関連を明らかにした。更に、ガドリニウムの前投与によりクッパー細胞(腸管ではマクロファージ)をエンドトキシン投与前に抑制すると、エンドトキシンによるカハール細胞のKIT染色性の低下は抑制され、腸管運動障害も抑制された。以上から、エンドトキシン腸管運動障害には腸管のマクロファージの活性化が関与していることが明らかとなった。 平成13年度は、エンドトキシン投与時のNOS阻害剤の消化管運動に及ぼす影響を検討したが、あらかじめNOSの阻害剤を投与しておくと、エンドトキシンによるカハール細胞のKIT染色性低下や腸管運動障害は抑制された。この現象はiNOSの阻害剤では観察されたが、nNOSの阻害剤ではカハール細胞のKIT染色性低下と腸管運動障害の抑制は見られなかった。組織学的検索にても同様の結果が得られ、更に電気生理学的にもiNOSの阻害剤がエンドトキシンによる腸管運動障害とカハール細胞障害を抑制していることが示された。 引き続き平成14年度はエンドトキシン投与時のカハール細胞と平滑筋細胞の傷害を電子顕微鏡にて検討した。電子顕微鏡ではカハール細胞はviableであるが空胞変性を示していた。脂肪滴の増加も認められ、細胞膜障害も認められた。また、平滑筋細胞では、カルシウムのチャンネルの密集したcaveolaeの細胞膜障害が認められ、一過性ではあるがこの部の細胞膜のラッフリング消失も認められた。 以上のことより、エンドトキシン投与モデル系での腸管運動障害は、エンドトキシンによるマクロファージの活性化、iNOSの誘導と活性化、iNOSによるNitric Oxideの放出により、カハール細胞の自動運動能障害と、平滑筋細胞でのカルシウム調節能が傷害され発生すると考えられた。
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