研究概要 |
本年度は以下の研究を行った. 1)自己膨潤型人工血管の作成と吸水による壁厚の変化(膨潤度)の検討 壁厚100μmの超薄型人工血管と超吸水性ポリマー(SAP-C)を用いて3層構造(内層のグラフトの外側にシート状SAP-Cを巻き,その外側に外層のグラフトを被せ,両断端をポリプロピレン糸で縫合)の人工血管を作成した.自己膨潤型人工血管の生理食塩水吸収による壁厚の変化を検討した(n=5).SAPグラフトの壁厚は吸水前の0.68±0.04mmから吸水後は2.76±0.32mmに有意に増加した. 2)endoleakテスト 2種類の超吸水性ポリマー(SAP-AとSAP-C)を用いた自己膨潤型人工血管と直径20mmのZ-ステントを用いてステントグラフトを作成した.内腔に凹凸のあるガラス管を作成し,ステント・グラフトを内挿してリークテストを行った.109cm水柱の圧を動脈瘤モデルの瘤内に加え,ガラス管内に漏出する単位時間当たりの生理食塩水量をリーク量とした.SAPを含まない2層の人工血管を使用したステントグラフトをコントロールとして用い,リーク量を経時的に比較検討した(n=5).SAP-Aのステントグラフトではコントロールのものよりもどの測定時点においてもリーク量が有意に(p<0.01)少なく, SAP-CのステントグラフトではSAP-Aのものよりもどの測定時点においても有意に(p<0.001)リーク量が少なかった.
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