研究分担者 |
西村 元延 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90291442)
澤 芳樹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00243220)
三好 新一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00190827)
森下 竜一 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40291439)
金田 安史 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10177537)
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研究概要 |
心筋虚血再灌流障害の抑制は循環器領域の重要課題であるが,これに対しては現在分子生物学的アプローチにより心筋細胞の障害を抑制する試みがなされている。一方,HGFは当初,肝細胞における強力な増殖因子として精製,クローニングされたが,その後多くの上皮系細胞,内皮細胞に対して増殖,運動,形態形成等を促進し,器官の発生や再生課程において重要な機能を担っている事が明らかとなった。さらには,神経細胞や膵β細胞に対してはそのアポトーシスを抑制することで,疾患治療への応用も期待されている。一方,心臓におけるHGFの意義はほとんど明らかにされていない。今回,われわれが開発したin vivo gene transfectionの手法を用いて,虚血再灌流障害に対するHGFの作用を検討した。 ラット心にHVJ-リポソーム法を用いてhuman HGF cDNAを導入し,導入3日後にランゲンドルフ灌流装置にて晶質液灌流を行い,常温虚血前後の心機能について比較した。HGF群では,コントロール群に比べて,左室発生圧,左室DP/dtの回復率は有意に高値であり,再灌流後のCPK漏流量も有意に低値であった。 われわれの行っている遺伝子導入法では,ラット心へ非常に高率良く遺伝子を発現でき,これまでHSP70,βアドレナリン受容体,Bcl-2等の発現を試み,これらの心筋虚血再灌流障害,不全心における障害軽減作用を解明してきた。今後,臨床応用へ向けて,大動物においての長期的効果,副作用等につき実験を推進中である。
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