研究課題
基盤研究(B)
1.無拍動流ポンプを用いた両心補助循環施行時の左右補助流量バランスの維持について無拍動流ポンプを用いた両心補助循環施行時の流量制御を決定する上での最大の問題点の一つは左右補助流量のバランスである。従来無拍動流ポンプは後負荷依存性の流量の変動が大きく、これが左右ポンプ流量バランスの維持の上でも問題になっていた。この無拍動流ポンプの後負荷依存性の流量の変動性を最少限にすべく、左右各ポンプの流出路に抵抗を設けてポンプ特性を変化させた上でポンプ回転数を従来より高回転で一定にする制御法を開発した。これを用いて成ヤギ6頭に対して左心バイパスを左心室心尖部脱血、大動脈送血、右心バイパスを右心房心室脱血、肺動脈送血にて両心無拍動流補助循環を行う覚醒下慢性動物実験モデルを作成し、現在34日間までの覚醒下に立位、座位、摂食、排泄等の通常活動の範囲内においては一定の左右流量バランスの維持が可能であることを確認した。2.無拍動流ポンプを用いた両心補助循環施行時の至適血圧、血液流量について自己心の拍動が残存している状態においては、左心バイパスを左心室心尖部脱血、大動脈送血にて行うと、ポンプ流量波形は心臓の収縮に伴った脈動を認めるが、左心機能が低下していると体血圧は高度な脈圧の減少を認め、左心機能の改善に伴って体血圧の脈圧は増加傾向を示した。一方、心拍動を停止させた状態における血行動態の変化についても検討を行った。左ポンプ流量を約100ml/kgの状態において電気的に心室細動を誘発すると、左ポンプ流量が維持されている条件下では動物の覚醒下の活動は継続しうるが、流量は一定であるのにも関らず、体血圧の低下傾向を示した。ただし、この際にも左右の流量バランスは上記の管理法にて維持することが可能であった。高度に心機能が低下した状態または心室細動や心停止の状態において至適な血行動態は血液流量、血圧何れを管理すればえられるのかについては更なる検討を要すると考えられる。
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