研究分担者 |
西中 知博 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (00256570)
巽 英介 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (00216996)
妙中 義之 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 部長 (00142183)
築谷 朋典 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (00311449)
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研究概要 |
(1)無拍動流ポンプを用いた補助循環施行時の血圧、血液流量について 自己心の拍動が残存している場合、左心バイパスを左室心尖部脱血、大動脈送血にて行うと、左心機能低下中は体血圧は高度な脈圧の減少を認めるが、左心機能の改善に伴って体血圧の脈圧は増加傾向を示した。総流量130ml/min/kgの流量にてヤギを用いた覚醒下慢性動物実験で検討したところ、無拍動流ポンプを用いた補助循環施行時においても脳酸素代謝および脳内糖代謝、脳機能は正常に維持され、脳神経系の病理学的形態変化も認めなかった。循環調節関連の液性因子および全身の酸素代謝も正常に維持されることが明らかとなった。 (2)左右心拍出量バランス 無拍動流ポンプの後負荷依存性の流量の変動性を最少限にすべく、左右各ポンプの流出路に抵抗を設けてポンプ特性を制御させた上でポンプ回転数を従来より高回転で一定にする制御法を開発した。これを用いて両心無拍動流補助循環を行う覚醒下慢性動物実験モデルをヤギを用いて作成し、1ヶ月間の覚醒下に立位、座位、摂食、排泄等の通常活動の範囲内で一定の左右流量バランスの維持が可能であることが確認しえた。 (3)無拍動流両心補助循環法の制御法の開発に関する検討 耐久性の面から問題のある流量計を用いずに無拍動流ポンプの流量をポンプ駆動モータ電流と回転数から計測する手法を開発し,慢性動物実験にてその有効性を確認した。ポンプ運転中は回転数が変化し得るため,単一の関係式で表現できるよう,両者の関係を正規化した。その結果,回転数によらない定式化が可能であった。心尖脱血方式ではポンプ流量が生体心の拍動に応じて変動するが,計測されたモータ電流波形はきわめて高い応答性を有しており,ポンプ流量過多時に発生する心室内脱血管の吸い付き現象の検出が可能であった.したがって本測定方法は,ポンプ至適流量の自動判定や,脈動に反映される心拍数の測定を通じた制御への応用が可能であると考えられる。
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