研究概要 |
本研究計画では細胞アポトーシスの重要な制御因子であるBaxおよびBcl-2の遺伝子改変マウスを用い,脊髄損傷における二次性損傷に続発するアポトーシスの意義を解明し,かつ薬剤治療効果判定のために有用な動物実験モデルを開発することを目的としている. 本年度は遺伝子改変マウスを用いる本実験のための予備的研究として,同系マウスにおける脊髄損傷モデルの確立を行った. マウスに脊髄損傷を与える装置として,空気圧にて衝撃子を正確に制御できるpneumatic impactor deviceを採用し,独自の改良を加えて,それにより常に同程度の脊髄損傷を作りうる方法の検討を行った. その結果, 1)第11胸椎の椎弓切除下に脊髄損傷を加えるのが最良であることが判明した. 2)衝撃子の移動距離1mm,移動速度1m/sの時,中等度の脊髄損傷が加わり,約4週間にて神経機能がかなりの程度回復可能であることが判明した 3)病理組織学的にも移動距離1mm,移動速度1m/sでの損傷が適切であることが判明した. 4)神経学的評価方法ではKuhnらの評価方法が最も適切と考えられた. 以上の結果をもとに次年度には実際にBaxおよびBcl-2遺伝子改変マウスを用いて脊髄損傷とその回復における神経細胞アポトーシスの役割についての解析を解析を開始する.
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