研究課題/領域番号 |
11557104
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
坂井 昇 岐阜大学, 医学部, 教授 (10021487)
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研究分担者 |
中島 茂 岐阜大学, 医学部, 教授 (60188935)
吉村 紳一 岐阜大学, 医学部, 日本学術振興会特別研究員
郭 泰彦 岐阜大学, 医学部・附属病院, 助手 (90242718)
坂野 喜子 岐阜大学, 医学部, 助教授 (50116852)
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キーワード | 虚血性脳血管障害 / 低酸素刺激 / アポトーシス / ネクローシス / セラミド / caspase / Bcl-2 / ホスホリパーゼC |
研究概要 |
本学では神経細胞のモデルとしてPG12細胞を用いた低酸素負荷に対するアポトーシス、ネクローシスの誘導およびその細胞内情報伝達を究明し、脳血管障害における神経細胞の保護という領域から一歩踏み込んだ、アポトーシス関連因子を用いた積極的なアプローチによる治療への転用の可能性を探究すべく研究を継続している。現時点で得られた知見は以下の如くである。 (1)PC12細胞に対するbcl-2遺伝子の導入によって1%の低酸素条件下での細胞死が(アポトーシス、ネクローシスともに)有意に抑制された。 (2)この条件下では中性スフィンゴミエリナーゼが活性化され、細胞内でセラミドが生成されていたが、bcl-2遺伝子の導入によって本酵素の活性は有意に抑制されていた。尚、外因性に膜透過型のセラミドを投与した際にも細胞死が同様に観察されたことから、低酸素による細胞死にはセラミドが少なからず関与しているものと考えられた。 (3)セラミドと連携する因子としては、アポトーシスの実行因子として知られる一群のproteaseであるcaspase阻害剤の投与ではセラミドの生成は抑制されないことから、caspaseがセラミドの下流で細胞死に関与し、bcl-2遺伝子はスフィンゴミエリナーゼの上位とcaspaseの下位の両方で異なった細胞死抑制効果を発揮していることが予想された。 (4)セラミド等のスフィンゴ脂質のほかに、我々は以前からホスホリパーゼD(PLD)をはじめとする他のリン脂質との関連性にも注目してきた。PLDアイソザイムの内、PC12細胞に存在するPLD-2は低酸素刺激によって細胞が死に向かう前の段階で活性化される知見を得ており、その生物学的意義のみならず各種のアポトーシス関連因子とのクロストークについては今後の重要な検討課題と考えており、研究を続けていく方針である。
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