研究課題/領域番号 |
11557108
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
中込 忠好 帝京大学, 医学部, 教授 (90198052)
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研究分担者 |
成田 孝而 帝京大学, 医学部, 助手 (90237602)
金光 秀晃 帝京大学, 医学部, 講師 (10129992)
久保田 勝 帝京大学, 医学部, 講師 (30246061)
増田 広之 生化学工業株式会社, 東京研究所, 主任研究員
井ノ口 仁一 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (70131810)
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キーワード | sphingomyelin / ceramide / L-PDMP / D-PDMP / hippocampus |
研究概要 |
細胞の成長促進や抑制にスフィンゴミエリン・サイクルが関与すると言われている。砂ネズミの海馬の遅発性神経細胞死についてスフィンゴミエリンの変動を検討した。砂ネズミをフローセン麻酔下に体温を37.4±0.4℃に保ち両側総頚動脈を5分間クリップし再開通0,15,30,90分、48、96時間にマイクロウエーブで処理し、Folch法にて脂質抽出後、HPTLCとGLCで定量した。定量にはC-17脂肪酸が酸アミド結合したスフィンゴミエリン、セラミドを内部標準とした。スフィンゴミエリンは虚血再開通30分で有意に減少し、その後90分で元のレベルに戻り、48時間では再度減少した。前脳虚血再開通モデルの海馬におけるプログラムされた細胞死にスフィンゴミエリン・サイクルの関与が示唆された。 さらに薬物による細胞内のスフィンゴミエリンサイクルをコントロールする目的でスフィンゴ脂質合成を促進するL-PDMPと抑制するD-PDMPを投与し海馬と大脳皮質でのスフィンゴミエリンとセラミドの変動を検討した。砂ネズミ(60-90g)を用い、40mg/kgのPDMPを1日2回腹腔内に4日間投与し、5日目にマイクロウエーブ処理した。薬剤はD-,L-PDMPとvehicle(Tween 80)の3群で各群5匹で比較した。スフィンゴミエリン、セラミドの定量は上記の方法で行なった。L-PDMPを4日間投与後、スフィンゴミエリンは海馬において、7.83mmol/kgでvehicle(5.11mmol/kg)と比較し有意に増加したが、大脳皮質では有意差は認められなかった。またセラミドはD-PDMP投与で大脳皮質で1.6倍、海馬で1.4倍の増加が見られた。D-PDMP投与によるセラミドは大脳皮質と海馬の両部位とも増加しスフィンゴリピドの合成阻害が認められた。しかしL-PDMPによるスフィンゴミエリンの増加は海馬に多く、スフィンゴミエリンの合成促進は学習などの海馬の機能面から注目され、次年度はラット局所脳虚血モデルを用いL-PDMPを投与し水迷路での学習効果を検討する。
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