研究概要 |
本研究は脊髄誘発磁界計測用の超伝導量子干渉素子(SQUID;superconducting quantum interference device)磁束計を開発し,脊髄伝導路の三次元的な解析を行うことを目的としている。平成11年度の研究として以下の如く,SQUID磁束計と磁気シールド装置の設計,制作,設置を行った。 1 脊髄誘発磁界計測用SQUIDコイルの設計 脊髄誘発磁界は信号強度が非常に小さく10^<-15>テスラ程度になると予想され,かつ脊髄からの磁界成分は体表に対して水平方向に発生すると予測されるため,SQUID検出コイルの高感度化,形状の最適化を計る必要があった。脊髄の解剖学的知見に基づき,1チャンネル計測用SQUIDコイルの設計(大きさ,向き,コイルの巻数)を行った。SQUIDの検出コイルは外来磁気雑音を相殺するため2つのコイルを逆接続したグラディオメーター構造とし,脊髄磁界計測に適したコイル巻数とコイル間距離を設計し,検出コイルの高感度化を図った。SQUIDコイルの製作は米国Tristan社にて行った。 2 小型磁気シールド装置の開発 汎用磁気シールドの外部磁気雑音遮断性能をさらに向上させるために,従来の磁気シールド内に小型磁気シールド装置を製作・設置した。この小型磁気シールド装置内で,脊髄の任意の複数箇所で誘発磁界計測を可能とするために,被検体を自由に移動できる機能を持たせた。外来磁気雑音は合成開口法や移動平均加算法などの信号処理技術で処理することとした。 3 SQUID磁束計の設置 非磁性プラスチック製で,前後左右に30cmの可能範囲を有するガントリーを製作し,SQUIDコイルを固定した。ガントリー下方に実験動物固定用の改良型動物脳定位固定装置を設置した。これらの装置を2)で開発した小型磁気シールド装置内に設置した。
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