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2002 年度 実績報告書

痛みの情報伝達におけるATP受容体の役割に関する神経・行動薬理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 11557115
研究機関国立医薬品食品衛生研究所

研究代表者

井上 和秀  国立医薬品食品衛生研究所, 代謝生化学部, 部長 (80124379)

研究分担者 小泉 修一  国立医薬品食品衛生研究所, 薬理部, 室長 (10280752)
キーワードATP受容体 / 痛み / 侵害受容器 / 行動薬理学 / 電気生理学 / 後根神経節ニューロン / アロディニア / 神経因性疼痛
研究概要

これまでに、ATP受容体刺激によって引き起こされる3番目の疼痛反応アロディニアについて研究した.このアロディニアは、モルフィンが奏効しにくい難治性の痛みであり臨床上最もペインコントロールが困難な痛みの一つと考えられている神経因性疼痛の主症状アロディニア(異痛症)に類似している.この疼痛反応はラット足掌のP2X2+3ヘテロマー受容体(P2X2およびP2X3分子が異種同士で会合して一つの機能チャネル受容体を形成したもの)刺激により引き起こされること、生後すぐにカプサイシン処理を施した動物(後根神経節ニューロンのうちC-繊維神経が脱落する)でも認められることから、C-線維は介在していないことを明らかにした.本年度は、ATP受容体のもう一つのファミリーであるGPCRのP2Yと疼痛反応に関して検討した.RT-PCR解析によりラット後根神経節(DRG)ニューロンではいくつかのP2YサブタイプのmRNA発現が認められた.DRGニューロンを急性単離してカルシウムイメージングにより薬理学的な手法によりP2Y受容体が機能しているか否かを検討した.その結果、細胞外カルシウムに依存した細胞内カルシウム上昇がATPおよびUTPで認められ、これらの反応はPLC阻害剤で抑制されたことから、P2Y受容体が機能を有することが明らかとなった.これらの機能的P2Y受容体刺激が痛みを誘発するか否かを行動薬理学的に検討した.その結果、P2Y2アゴニストUTPにより著明なアロディニアが発現したことから、P2Y2刺激によってもアロディニアが発現することがわかった.このアロディニアはP2X系のアロディニアよりも発現持続時間が遙かに長い(刺激後3-4時間持続)ことから、ATP受容体はイオンチャネルを介する系とGPCRファミリーを介する系とで作用機序の異なるアロディニアを発現する可能性が認められた.

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] M.Tsuda, Y.Shigemoto-Mogami, S.Ueno, S.Koizumi, H.Ueda, T.Iwanaga, K.Inoue: "Down-regulation of P2X3 receptor-dependent sensory functions in A/J inbred mouse strain"Eur. J. Neurosci.. 15. 1444-1450 (2002)

  • [文献書誌] K.Inoue, S.Koizumi, S.Fuziwara, S.Denda, K.Inoue, M.Denda: "Functional vanilloid receptors in cultured normal human epidermal keratinocytes"BBRC. 291. 124-129 (2002)

  • [文献書誌] S.Koizumi, P.Rosa, G.B.Willars, R.A.J.Challiss, E.Taverna, M.Francolini 2, M.D.Bootman, P.Lipp, K.Inoue, J.Roder, A.Jeromin: "Mechanisms underlying the neuronal calcium sensor-1-evoked enhancement of exocytosis in PC12 cells"J. Biol. Chem.. 277. 30315-30324 (2002)

  • [文献書誌] H.Aihara, S.Fujiwara, I.mizuta, H.Tada, T.Kanno, H.Tozaki, K.Nagai, Y.Yajima, K.Inoue, T.Kondoh, Y.Motooka, T.Nishizaki: "Adenosine triphosphate accelerates recovery from hypoxic/hypoglycemic pertuibation of guinea pig hippocampal neurotransmission via a P2 receptor"Brain Research. 952. 31-37 (2002)

  • [文献書誌] Koiznmi S, Saito Y, Nakazawa K, Nakajima K, Sawada JI, Kohsaka S, Illes P, Inoue K: "Spatial and temporal aspects of Ca2+ signaling mediated by P2Y receptors in cultured rat hippocampal astrocytes"Life Sci.. 72. 431-442 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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