研究課題/領域番号 |
11557121
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
和氣 徳夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50158606)
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研究分担者 |
有馬 隆博 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (80253532)
加藤 聖子 九州大学, 生体防御医学研究所, 講師 (10253527)
加藤 秀則 九州大学, 生体防御医学研究所, 講師 (60214392)
松田 貴雄 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (10304825)
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キーワード | [12Val]K-Ras / ERα / ERドミナント・ネガティブ / MDM2 / p53 / p21 / 細胞老化 / p14^<ARF> |
研究概要 |
本年度はDNA障害などに反応し、細胞老化が誘導されるAccelerated cell senescenceの機構を解明し、癌細胞で再構築することによる癌分子標的療法の開発を目的とした。 細胞老化におけるRas-エストロゲンリセプター(ERα)シグナル伝達の意義:我々はERαはRas下流で活性型[12Val]K-Rasにより転写因子としての機能を亢進させることによりNIH3T3細胞の形質転換を誘導することを明らかにした。活性型[12Val]K-Ras発現K12V細胞へERドミナント・ネガティブ変異体を遺伝子導入し、内在性ER機能を抑制したところ、再構成細胞は老化に伴い死滅した。再構成細胞におけるドミナント・ネガティブER発現に伴い、MDM2発現抑制-p53蛋白安定化-p21CDKインヒビター発現亢進を認めた。さらにNIH3T3細胞に野生型ERαcDNAを導入したところMDM2発現亢進を認めた。K12V細胞においてドミナント・ネガティブER変異体及びcJunを強制発現させたところドミナントネガティブER変異体によるMDM2発現抑制は解除された。以上の結果からERαはRasの下流でNIH3T3細胞の形質転換に必要不可欠であること、さらには転写レベルでのMDM2発現亢進による不安定化の誘導がその分子機構の一部として示唆された。p14^<ARF>発現を欠くNIH3T3細胞ではK-Ras/ERα/MDM2/p53/p21シグナル伝達が細胞老化の制御に機能していることを初めて明らかにした。活性化K-Ras変異及びp14^<ARF>発現の消失は多くのヒト癌に共通して観察されるため、本シグナル伝達を標的とした癌分子標的療法の有効性が示唆された。
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