研究課題/領域番号 |
11557126
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
黒野 祐一 鹿児島大学, 医学部, 教授 (80153427)
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研究分担者 |
宮之原 郁代 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 講師 (40305131)
牛飼 雅人 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 講師 (00284886)
松根 彰志 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (00253899)
出口 浩二 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 助手 (50315438)
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キーワード | 上気道 / ワクチン / インフルエンザ菌 / エンドトキシン / 粘膜免疫 / 経鼻免疫 / P6 / コレラトキシン |
研究概要 |
1)インフルエンザ菌外膜蛋白抗原の作成 インフルエンザ菌に共通な外膜蛋白抗原であるP6を精製し、さらにそのアミノ酸解析を行い組み換えP6(rP6)を作成した。このrP6はインフルエンザ菌から精製されたP6と全く同一の電気泳動パターンを示した。また、強い粘膜アジュバント作用を有するミュータントコレラトキシンのAサブユニットのアミノ酸解析により同様に組み換えコレラトキシンを作成し、これに先に得られたrP6を融合させ、結合組み換え蛋白を作成した(mCT-rP6)。 2)組み換え蛋白抗原に対する粘膜免疫応答 rP6にコレラトキシンを混合したもの(A群)とmCT-rP6(B群)でマウスを週1回計3回経鼻免疫を行い、唾液、鼻腔洗浄液中の特異的抗体活性および唾液腺、鼻粘膜の特異的抗体産生細胞数を測定した。その結果、A群、B群ともに有意な特異的粘膜免疫応答そして全身免疫応答の誘導が観察された。しかし、B群では精製コレラトキシンそしてrP6に対する免疫応答はみとめられなかった。さらに両群のマウスから得られた唾液そして血清のインフルエンザ菌に対する凝集抗体価を測定したところ、有意な活性は観察されなかった。したがって、これらの組み換え蛋白抗原をインフルエンザ菌感染の予防ワクチンとして応用するにはさらなる基礎的検討が必要なことが示唆された。 3)上気道感染症におけるインフルエンザ菌の関与 上気道の粘膜免疫応答を知るために、中耳、副鼻腔、扁桃の上皮細胞そして単核球のエンドトキシンに対する反応を観察した。その結果、いずれの臓器においても、エンドトキシンに対する生体の過剰あるいは低反応が炎症の遷延化に関与していることが明らかにされ、エンドトキシンの主たる産生源となるインフルエンザ菌に対する対策がこれら疾患の治療そして予防に重要なことが示された。
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