研究概要 |
1)エキシマレーザー光学的角膜切除術モデルにおける角膜創傷治癒を制御する因子 家兎眼に対してエキシマレーザー光学的角膜切除術を施行し術後の経過により変化するサイトカイン、細胞外基質、細胞外基質のシャペロンとしてのheat shock protein 47(hsp47)を観察した。サイトカインではTGF-β1、2、3が発現し、その受容体の発現もみられた。細胞外基質としてはコラーゲンI,III,IV型、ラミニン、フィブロネクチンの発現がみられた。またコラーゲンのシャペロンとしてのhsp47が発現していた。特にhsp47は従来考えられていた範囲よりも広く発現の増加がみられ広くに影響が及んでいることが明かになった。 瘢痕形成と抑制して光学的角膜切除術の副作用を少なくするための方法を検討したがステロイド剤点眼がもっとも有効であり、消炎が組織反応を抑制するのに重要であることが判明した。 2)培養細胞系を用いたin vitro実験 ラット角膜由来の実質細胞、ウシ眼角膜内皮細胞を用いた。 細胞機能解析:細胞の増殖、遊走、細胞外基質の産生制御、遺伝子導入などの細胞生物学的手法およびウエスタンブロット法を用いた生化学的手法をもちいて解析した。生体モデルで見い出されたTGFーβについて細胞外基質(ラミニン)産生促進をおこなう細胞内シグナル伝達機構について分子細胞生物学的に検討したところ、TGFーβが特異的なII型受容体に結合し、この複合体がさらにI型受容体を結合することにより、I型受容体のリン酸化酵素活性(kinase activity)が活性化される。活性化されたI型受容体は細胞質内のSmad分子(Smad2/Smad3)をリン酸化すると、Smad2/Smad3/Smad4の複合体が形成され細胞質から細胞核へとシグナルが伝達される。ヒアルロン酸産生についてはTGFーβの作用とPDGFーBBはクロストークがみられた。
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