研究課題/領域番号 |
11557135
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山本 隆 大阪大学, 大学院・人間科学研究科, 教授 (60028793)
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研究分担者 |
乾 賢 大阪大学, 大学院・人間科学研究科, 助手 (40324735)
山口 雅彦 電子技術総合研究所, 大阪LERC, 主任研究官
外池 光雄 電子技術総合研究所, 大阪LERC, 総括主任研究官
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キーワード | 味覚 / 刺激装置 / 脳磁図 |
研究概要 |
前年度はラットを用い、ショ糖とキニーネなどを与えた時、脳脊髄液と血液中にβ-エンドルフィンが増えているかどうかを調べた。その結果、共にショ糖、サッカリンでもっとも大きく増加した。結論として、脳脊髄液中のβ-エンドルフィンはのどの渇きがいやされた時の快感にも関与し、血中のそれは味の嗜好性評価と密に相関することが示唆された。 また、未知の物質の遊離の可能性を探るため、ヒドラのバイオアッセイ系を用いた実験である。ラットにショ糖やキニーネを与えた後の脳脊髄液を調べたところ、キニーネ刺激により分子量約1万の物質が特異的に増加していることがわかった。「まずさ」に関連する可能性があるため、今年度にはこの物質の本態を探る実験を行った。 Diazepam binding inhibitor(DBI)は生体内で唯一発見されているベンゾジアゼピンレセプターのリガンドであり、その作用は、おいしさの物質として知られているベンゾジアゼピンとは逆の作用を示すことから、「まずさ」に関する未知の物質として、DBIをその候補として仮定した。DBIをヒドラに作用させたところ、キニーネ作用時と同様にグルタチオン誘発性応答を抑制した。DBIフラグメント投与によりショ糖の摂取量を有意に抑制し、これはキニーネ脳内投与により得られた結果と類似していた。DBI結合のアンタゴニストであるフルマゼニルを前投与することでこれらの抑制作用が一部拮抗された。 以上の結果より、キニーネを摂取されたラットの脳脊髄液中にはDBI様の物質が分泌されていることが示唆された。
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