癌の骨転移関連遺伝子のクローニングとその機能解析

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11557136
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 米田 俊之 大阪大学, 歯学部, 教授 (80142313)
• 研究分担者: 西村 理行 大阪大学, 歯学部, 助教授 (60294112)
• キーワード: 遠隔転移 / 乳癌 / 前立腺癌 / 骨転移 / レポーターアッセイ

研究概要

1.遠隔転移を呈する乳癌細胞株の樹立
すでに我々は、遠隔転移動物実験モデルとして、左心室移植法を確立している。しかしこのシステムでは、癌原発巣から転移の成立過程を検討できない。この問題点を解決するために、皮下移植により、肝臓、肺、脳、腎臓および骨組織に高率で遠隔転移を来たす乳癌細胞株を樹立した。さらにこの乳癌細胞を移植された担癌マウスの骨転移部から、骨に選択的に遠隔転移を来たすサブクローン株をも樹立した。
2.遠隔転移の程度を定量化するシステムの確立
遠隔転移のメカニズムを検討する上で、担癌実験動物の転移の程度を定量化することは、極めて重要である。そこで我々は、1、で樹立された乳癌細胞株にルシフェラーゼをトランスフェクションし、構成的にルシフェラーゼ活性は、病理組織学的に検索した転移の程度と高い相関関係を示した。従って、このシステムは、各種臓器における転移の定量化に有効であると考えられる。
3.cDNAライブラリーの作製
遠隔転移の成立に関わる遺伝子を明らかにするために、1.で樹立された乳癌細胞からcDNAライブラリーを作成し、現在、遺伝子クローニングを行なっている。さらに、現在、Serial Analysis of Gene Expression(SAGE)を用いたクローニングシステムに必要なcDNAライブラリーを構築している。来年度以降、これらcDNAライブラリーを用いて癌遠隔転移の制御に関わる遺伝子のクローニングを推し進める。

研究成果

• [文献書誌] Ji X: "Patterns of gene expression associated with BMP-2-induced osteoblast and adipocyte differentiation of mesenchymal progenitor cell 3T3-F442A"J Bone Miner Net. (印刷中). (2000)
• [文献書誌] Y Takaoka: "The pancreas: A storehouse of protein anabolic factors and bone/calcium metabolism-regulating factors"J Bone Miner Met. (印刷中). (2000)
• [文献書誌] Toshiyuki Yoneda: "Cellular and molecular basis of preferential metastasis of breast cancer to bone"J Orthop Sci. (印刷中). (2000)
• [文献書誌] Toshiyuki Yoneda: "Use of bisphosphonates for the treatment of bone metastasis in experimental animal models"Cancer Treat Rev. (印刷中). (2000)
• [文献書誌] 西村理行: "SmadファミリーによるTGF-βスーパーファミリーのシグナルの制御"ホルモンと臨床. 47・1. 79-88 (1999)
• [文献書誌] 米田俊之: "ビスホスホネートの癌への新展開"Clinical Calcium. 9・11. 30-35 (1999)
• [文献書誌] 米田俊之: "癌骨転移の分子細胞生物学"Clinical Calcium. 9・4. 22-27 (1999)
• [文献書誌] 米田俊之: "骨転移動物実験モデルの作成とその臨床応用"関節外科. 19・3. 25-29 (2000)