研究概要 |
破骨細胞は血球系幹細胞から分化し、ODF(Osteoclast Differentiation Factor,破骨細胞誘導因子)は必須の因子である。ODFは、TNFファミリータンパク質に属する膜結合型タンパク質であり遊離型の存在が知られているが、膜結合型ODFの切り出し(プロセッシング)に関わる酵素は、同定されていない。本研究はその酵素の同定を最終目的としている。本年度は破骨細胞形成支持能のあるST2細胞において種々のサイトカインによる遊離型ODFタンパク質の発現の変化について検討を行った。ST2細胞は通常ODFを産生していないが、dexamethasone処理を行うことにより膜結合型および遊離型ODFを産生する。遊離型ODFは、ODFおとり受容体であるOPG(osteoprotegerin)を固相化したresinでODFを沈降させWestern blottingで検出するLRP(ligand-receptor prepicitation)法にて定量した。破骨細胞形成を促進するサイトカインであるIL-1b,IL-6,IL-11,IL-17,TNF-aでは遊離型ODFが増加した。一方、破骨細胞形成を抑制するサイトカインのうちIL-4とIL-18では遊離型ODFには変化がみられなかったもののIL-13,INF-r,TGF-b1では遊離型ODFは減少した。膜タンパク質のプロセッシングはタンパク質リン酸化酵素により調節されると報告されているが、遊離型ODFの発現はprotein kinase C inhibitor(staurosporin),MEKK1 inhibitor(PD98059)によって影響をうけなかった。
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