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2000 年度 実績報告書

おとり遺伝子を用いた新規口腔癌治療の開発

研究課題

研究課題/領域番号 11557140
研究機関九州大学

研究代表者

白砂 兼光  九州大学, 歯学研究院, 教授 (30093420)

キーワード口腔癌 / 癌浸潤機構 / 癌浸潤抑制 / 遺伝子治療 / プラスミノーゲンアクチベータ / 血管新生因子
研究概要

本研究は癌治療を困難にしている最大の特性である癌浸潤をおとり遺伝子導入により抑制しようとするものである。我々はすでに癌細胞をEGFやTNFαなどのサイトカインで処理するとin vitro浸潤モデル下での細胞浸潤が著明に促進され、一方、一方デキサメタゾンで処理すると浸潤が著明に抑制されるという結果を得ている。さらに、これらの細胞の浸潤能の変化はマトリックスメタロプロテアーゼMMP-9やウロキナゼー型プラスミノーゲンアチベター(uPA)の産生、またuPA受容体(uPAR)の発現と極めて密に相関しており,またそれらの発現にはAP-1やNF-kBなどの転写因子によって調節されていることを示唆してきた。この様な実験事実からプロテアーゼなど癌細胞の浸潤に正に働くタンパク発現を転写レベルで阻害することにより,癌浸潤を抑制することが可能であると考えた。
おとり遺伝子とは転写因子プロモーター領域に結合する塩基配列を含んだ二本鎖合成オリゴヌクレオチド(20塩基対程度)のことであり,これをHVJ(Hemagglutinating virus of Japan)ウイルスベクターを用いて癌細胞に導入した。AP-1おとり遺伝子を導入した癌細胞はEGFによって促進されるuPAとuPARの発現を抑制した。NF-kBおとり遺伝子を導入した癌細胞はTNF-αによって促進されるMMP-9の発現を抑制した。しかしながら、両者の効果はデキサメタゾンの効果に比較すると弱く、癌細胞の浸潤に対する効果は得られなかった。一方、Sp-1おとり遺伝子を導入した癌細胞はサイトカインTNF-αによって促進される血管新生因子VEGF、TGF-β、組織因子、uPAの産生および癌浸潤を著明に抑制した。Sp-1でみられる癌浸潤抑制効果が、AP-1やNF-kBおとり遺伝子では弱いのかについて今後、検討する予定にしている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] K.Ishibashi et al.: "Sp1 decoy transfected to carcinoma cells suppresses the expression of vascular endothelial growth factor, transforming growth factor β, and tissue factor and also cell growth and invasion activities"Cancer Research. 60. 6531-6536 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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