研究概要 |
今年度は,rhBMP-2を用いて硬組織を誘導するために必要な支持体に関する実験を行った.その結果,rhBMP-2と一型コラーゲンの複合体,rhBMP-2とポリ乳酸-ゼラチン化合物(PGS)が効果的に硬組織を誘導するためには有用であることがラットを用いたin vivo実験から明らかになった.つまり,rhBMP-2のみをラット皮下結合組織内に移植しても硬組織形成は誘導されなかったが,rhBMP-2と一型コラーゲンあるいはポリ乳酸-ゼラチン化合物(PGS)との複合体の場合には,移植後2週で旺盛な骨形成が観察された.さらに,rhBMP-2のco-factorとして有望な象牙質リンタンパク質(phosphophoryn)を用いたin vitro石灰化誘導実験を行った.phosphophorynを一型コラーゲン線維に単に吸着させた場合には,石灰化誘導は認められなかったが,架橋剤を用いて共有結合させた場合には,石灰化誘導が認められた.これらのことから,rhBMP-2のco-factorとしてphosphophorynを用いる場合には,一型コラーゲン線維に架橋結合させることが必要であることが推測された.また,phosphophorynが骨芽細胞の増殖,分化に及ぼす影響を検討したところ,osteopontin,osteonectinのmRNAレベルの発現を促進することが,培養実験から明らかになった.
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