研究概要 |
研究期間の2年目である今年度は,まず年度はじめの4月にワシントンD.C.で開催された第78回IADR総会において,「Fundamental properties of an experimental porcelain for metal-ceramics」の題名でポスター発表を行った.この中では,プロトタイプのペースト陶材の機械的性質と溶解度試験の結果を発表した.ISO6872:1995 Dental ceramicに準拠して行ったこの試験では,棒状試験片の曲げ強さは109.3Mpa,また,円盤状試験片で行った4%酢酸溶液浸漬試験では16時間後の重量減少は21.7μg/cm^2であり,いずれも基準値を満たしていた.さらに色調に関しても調べた結果,従来型の陶材よりも色調再現性に優れることが明らかとなった. ペースト陶材には微量ながら有機系のバインダーが含まれるため,プレ・ファーネス炉として約300℃付近まで温度上昇可能な電気炉を試作し,この中で約15分程度乾燥と有機系バインダーの焼却をはかったところ,良好な結果が得られた.以上のような基礎的な実験結果を踏まえ,今年度は実際の技工物(金属焼付ポーセレンクラウンおよびブリッジ)の作製実験を歯科技工士の協力を得て開始した.この実験を行う過程で,技工士側からコアー法の提案があり,これを試行したところ非常に良好な結果が得られ,なおかつ時間も大幅に短縮できたことから通常の築盛法の他,このコアー法(インデックス法)を今後検討していく事にした. 以上のような研究結果を踏まえ,次年度は最終年度であることも考慮して臨床実験を開始する予定である.特に単冠はもとより,ブリッジについても被験者の口腔内に仮着して,経時的な変化や色調に検討を加えていく所存である.
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