研究分担者 |
袴塚 康治 オリンパス光学工業株式会社, 技術開発部BCプロジェクト, 課長
宮崎 隆 昭和大学, 歯学部, 教授 (40175617)
李 元植 昭和大学, 歯学部, 助手 (40276605)
藤原 稔久 日産デジタルプロセス株式会社, デンタル事業室, 室長
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研究概要 |
CAD/CAMシステムに用いられるセラミックブロックは色調や質感についてよりも切削性を第一に考えられており,完成した補綴物の色調,質感はCAD/CAMで加工終了後の着色によるものが大であるが,加工前のセラミックブロックがより色調や質感に考慮されたものを加工に用いたほうが,より容易に審美的な補綴物が得られるはずである.そこで,現在,当教室で開発されているCAD/CAMシステムにおいて,どの程度まで審美的に考慮されたセラミックブロックを加工しうるか,また,加工されたセラミックブロックがとのような機械的性質を有するか検討を行った.オリンパス光学工業製のOCCを現状の焼成温度である940℃の他に焼成温度を880,900,920℃としたセラミックブロックを試作した.各セラミックブロックの色調は焼成温度が下がるにつれて透明度が増し,従来のセラミックブロックに比して良好な色調を得られた.各セラミックブロックを1回の切込み量を500μm,加工ピッチを500μmとし,加工速度を毎分100mmとして,直径3mmのボールエンドミルを用いてCAD/CAMシステムを用いて切削加工を行い3×11×20mmの寸法の試験片を作製し,曲げ試験を行った.得られた曲げ強さは焼成温度940℃のものが299MPaであり,920℃,900℃の試験片は239,253MPaでt検定で有意差が認められなかったものに対し,880℃のセラミックブロックは163MPaと有意差が認められた.また,SEMによる表面の観察でも,セラミックブロックでは焼成温度900℃までのセラミックブロックでは認められない微小な亀裂が多数認められた.880℃のセラミックブロックは加工の際に生じた亀裂が他のセラミックブロックより内部に伸展していたため,880℃のセラミックブロックが他の3者に比べて低い値にとまったのではないかと考えられた.
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