マウスの舌に口腔扁平上皮癌細胞株(HSC2由来)を繰り返し注入して腫瘍を作らせては、摘出・エクスプラント法で分離して、マウス舌に生着しやすい細胞株KH2の樹立を行った。一方、口腔扁平上皮癌細胞株に対する、アデノウィルスベクター(pJM17)を用いたCD80遺伝子導入効率の検討では、リポフェクタミンを併用することで、導入効率を82〜88%にまで高めることができた。これらをもとに、ヌードマウスの正常舌に口腔扁平上皮癌細胞を移植した腫瘍組織に対して、プラスミドDNAの注入・投与方法を検討し、最適な遺伝子導入条件を検討していった。予備実験段階では、導入された遺伝子の発現は、表在性にとどまり、また、発現がtransientにしかみられず、stableな遺伝子発現は難しいと考える。今後、エレクトロポレーション法と組み合わせて、腫瘍の深在部への導入を検討していく。同様に、米国において、アデノウイルスベクターをつかった遺伝子治療の死亡例が報告されており、あらたなベクターでの検討、アデノ随伴ウィルスベクター、レトロウイルスなどの利用を再検討、計画している。
|