研究課題
基盤研究(B)
複雑多岐な現代社会において、我々はストレスのもとに生活することを余儀なくされ、うつ病などの中枢疾患が現代病のひとつとして問題となっている。抗うつ薬の作用機構の解明およびその研究開発において、ヒトのうつ病とよく相似した動物病態モデルの作成が極めて困難であることが最も大きな問題となっている。近年、Porsoltらにより、新しい抗うつ薬のスクリーニングにマウスあるいはラットの強制水泳を用いる方法が報告された。この方法は、強制水泳させることにより生じた無動状態が動物におけるうつ状態を反映しているとの仮説に基づいたものである。そこで、本研究において、まず中枢作用を有する新たな天然素材を開拓することを目的とし、種々の植物の抽出エキスのマウスの強制水泳試験における無動時間に対する効果を検討した。その結果、ユーカリ、カカオ、バンカ、グァバのメタノール抽出エキス、およびグァバ、スウィーティー、ラズベリーの30%エタノール抽出エキスなどに顕著な無動時間の短縮が認められた。さらに活性成分を明らかにして作用機序を薬理学的に検討することを目的とし、カカオの抽出エキスについて、マウスの強制水泳における無動時間の短縮を指標にして、活性成分を順次分画精製したところ、数種の化合物を単離することができた。これらの化合物の薬理活性の詳細に関しては、現在検討中である。また、既に有用な活性を見出している吉草根の抽出エキスより単離した化合物の作用を検討したところ、PC12細胞における神経突起の伸張を顕著に増強する興味ある作用を見出したので、その作用の詳細な解析を行った。
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