研究課題/領域番号 |
11557181
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
宮澤 恵二 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教授 (40209896)
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研究分担者 |
下村 猛 三菱東京製薬, 創薬基盤研究所, 主管研究員
喜多村 直実 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (80107424)
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キーワード | プロテアーゼ / 組換えタンパク質 / 限定分解 / 融合タンパク質 |
研究概要 |
本研究は肝細胞増殖因子活性化酵素(HGFA)の高い基質特異性を利用して、副反応(目的タンパク質の切断)が少ない融合タンパク質限定分解システムを開発することを目指している。昨年度はHGFAの基質ペプチド配列をGST融合タンパク質に導入し、細胞内のシグナル伝達分子であるJIP-1(JNK interacting protein-1)を例に用いて組換えタンパク質を発現し、HGFAによる特異的な限定分解反応を確認した。 本年度はさらに、肝細胞増殖因子バリアントNK1、肝細胞増殖因子受容体チロシンキナーゼドメインについて、本システムを用いた発現をおこなった。いずれも副反応による分解は見られず、本システムが基質タンパク質にかかわらず有用であることが示唆された。また、HGFAによる融合タンパク質限定分解の制約条件の検討を行った。精製GST融合タンパク質はGlutathione-Sepharoseからの溶出液に大量のglutathioneを含んでいる。また、大腸菌の発現系では、発現された組換えタンパク質は不溶性になって封入体として回収されることがあり、この可溶化には高濃度のurea処理が必要である。このような組成の溶液内でも反応が可能であるのか、前処理が必要であるのか、という点はシステムの利便性に大きく影響する。結果として、HGFAの活性はglutathioneの共存によっては低下しなかった。しかし、0.5Mから2Mまでのurea共存下でHGFAの活性は完全に抑制された。したがって、ureaで可溶化したサンプルの切断には、限定分解に先だって十分にureaを除去する必要がある。 HGFAを用いたシステムは特異性が高いという長所をもち。既存のシステムと本システムを目的に応じて使い分けることにより、さまざまな状況に対応できるものと考えられる。
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