研究概要 |
細胞内には種々のエンドヌクレアーゼが存在し,これに対して抵抗性を持つアンチセンス分子をどのようにして開発するかが問題となる.我々は,4'αにアミノアルキル基を導入したヌクレオシドを持つオリゴマーは,末端アンモニウムとエンドヌクレアーゼのアスパラギン酸やグルタミン酸残基と基質となるべき位置とは異なった場所で結合するか立体障害のために,加水分解を受けないと仮定した.4'α-アミノメチル-(1),4'α-(2-アミノエチル)-(2)および4'α-(3-アミノプロピル)-チミジン(3)の合成を行った.つづいて,化合物1,2および3のアミノ基をトリフルオロアセチル基で保護し,3'-ホスホロアミダイト体へと変換した後に,DNA自動合成機を用いて各々を一個ないし数個含むオリゴヌクレオチド(17〜20mer)を合成した.合成したオリゴヌクレオチドと相補鎖DNAおよびRNAとの二本鎖の熱的安定性を詳細に検討したところ,導入したアミノアルキル体の数が増えるに従い,DNAとの二本鎖は安定化したが,RNAとの二本鎖は若干不安定化した.しかし,アンチセンス分子として用いる場合にこれが障害にはならないと考えられた.さらに,合成したオリゴマーの種々のヌクレアーゼに対する安定性および細胞抽出液中での安定性を調べたところ,アミノエチル体(2)がエンドおよびエキソヌクレアーゼに抵抗性を示し,最も優れた性質を持っていることが明らかになった.
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