研究概要 |
細胞内外に存在する種々のエキソ・エンドヌクレアーに対して抵抗性を持つアンチセンス分子をどのようにして開発するかが重要な課題である.我々は,4′α位にアミノアルキル基を導入したヌクレオシドを持つオリゴマーは,末端アンモニウムとヌクレアーゼ活性部位の酸性アミノ酸残基等と基質となるべき位置とは異なった場所で結合したり立体障害のために,加水分解を受けにくいと仮定した.アミノアルキル基の中で、アミノエチル基を持つ4′α-(2-アミノエチル)チミジン(E)を一個ないし数個含むオリゴヌクレオチド(17〜20 mer)は、導入したEの数が増えるに従いエンドおよびエキソヌクレアーゼに抵抗性を示し,最も優れた性質を持っていることが明らかになった.さらに、相補鎖となるRNA分子がRNase Hのよい基質になることも明らかにした.熱帯熱マラリア原虫のコハク酸脱水素酵素が原虫中で機能しているかどうかをEを含むアンチセンス分子を用いて検討したところ、コントロールとなるランダムな配列を持つオリゴマーは全く原虫の増殖を阻害せず、アンチセンス分子のみが増殖阻害効果を示した.この効果は上記のヌクレアーゼに抵抗性を示した結果であると考えている.
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