研究概要 |
これまでの検討から,セチルマンノシドにより表面修飾したリポソームがアジュバント効果を有し、ウシ血清アルブミン(BSA)を封入してラット皮下に投与すると抗BSA抗体が産生されること,さらに水素添加卵黄ホスファチジルコリンを基剤とする膜流動性が低く,マンノース修飾率が30%,粒子径が200nmのリポソームを用いた際に最も高い抗体産生能が示されること.さらに,この強力なアジュバント活性は,リポソーム化による抗原の抗原提示細胞への効率良い導入だけでなく,リポソーム自体によって引き起こされる補体活性化によっても亢進されている可能性が示唆されてた.本年度の検討から,セチルマンノシド修飾リポソームは強力な補体活性化能を持ち,この補体系との相互作用の結果,肝マクロファージに効率よく取り込まれることが明らかとなった.さらに,全血インダクション法を用いてリポソーム刺激による種々のサイトカインの放出について検討したところ,セチルマンノシド修飾リポソームはヒト血液細胞を刺激し,多くのサイトカインを産生しうることが明らかとなった.この結果から,リポソームが抗原を抗原提示細胞に効率よく取り込ませるだけでなく,サイトカイン産生をも同時に誘導し,免疫系全体を活性化してアジュバント効果を亢進している可能性が示唆された.
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